(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載では、仕事の帰りに脳出血で倒れ、一時意識不明の重体になるも、一命を取り留めた経験を持つ宮武蘭氏が、脳出血の後遺症やリハビリの実際を解説していきます。

リハビリ専門病院への転院初日、緊張しながらの夕食

12月28日(月)、転院の日を迎えた。急性期病院の集中治療室から一般病棟には行かずに、不安を抱えながらもリハビリ専門の病院に転院した。

 

転院当日、10時前に迎えのタクシーが来た。車イスの私が乗れるタクシーだ。半月振りに、車の中から年末の街並みを見た。転院先の病院に行くまでの15分くらいだったが、久しぶりの街並み、行き交う人々を窓から眺め、様々な思いがした。

 

病院に到着後、手続きや診察、検査など、午後まで忙しかった。昼食を用意していただいたのだが、食べ始めたのは14時を過ぎていた。入院した部屋は7階の4人部屋の窓際だった。母には15時半には帰ってもらった。

 

一人になり、いろいろ考えていたが、同室の二人の女性が優しく声を掛けてくださり、少しほっとした。

 

夕食はホールで食べる。固定席ではないようだ。私は車椅子で、何となく一人席に着いた。右肩は亜脱臼を起こしダラリとしていたので、三角巾をつけ、左手だけで食事をする。まだ入院初日。緊張しながらの夕食だった。

 

「食が体をつくる」と言うので、病院では嫌いな物もすべて食べよう! そんな決意をした初日だった。

転院2日目の朝…ベッドから車椅子への移動も介助必須

夜は意外と眠れ、転院2日目の朝を迎えた。眠っている時には、倒れて体が不自由になっていることなど当然だが意識はない。しかし、目覚めたら右半身には力も入らず、ダラリと重い。ベッドから車椅子に移動するのも介助していただく。トイレも中まで連れて行っていただき、便座に座ったらドアを閉めてくれる。

 

「終わったらコールボタン押してくださいね、すぐ来ますので」

 

コールボタンを押す。用を足した私は、まだ自力で立つことも難しいので、すべてをお任せする他ない。恥ずかしさもあったが、そんなことを考えても仕方がない。そのまま洗面台まで連れて行ってもらう。車椅子のブレーキをかけ、顔を洗う。

 

右手は亜脱臼を起こしているので、朝、三角巾で手を固定してもらっていた。左手で、病室の洗面台の水道の蛇口を触る。少し温かい水が出てきた。左手で水をすくい、顔にパシャパシャとかける。

 

『何か小動物みたいだな』と思った。しかし、よく考えたら小動物も両手を使っている気がする。鏡に映る自分の姿を見て、現実の自分だが、それを俯瞰して見ている、もう一人の自分がいるようだった。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『アイアムカタマヒ 右半身麻痺になった中年女の逆境に打ち克つリハビリ体験記』より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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