健康経営、多様性、DX…視点ごとの日本株投資の考え
次に、先ほどの「多様性」に加えて、「健康経営」「DX」の視点から、今後の日本株の投資アイデアにつなげたい。
●健康経営
足元、高齢者を中心に自治体での新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)ワクチンの接種が進展し、6月下旬からは企業や大学での接種の取組みが本格化し始めている。
健康経営の評価には直接的なウイルス対策を反映する「従業員の感染症予防」の項目があるが、間接的にはメンタルヘルス・ストレス、食生活、運動、働き方、生産性の項目など広く影響を及ぼす可能性があり、企業側としてもしっかりと新型コロナ対策に取り組むことは、健康経営度を総合的に高める上で重要といえよう。
そこで、投資のアイデアとしては、職場でワクチン接種を推し進め、情報開示を積極的に行う企業とともに、今後の国内の正常化の進展を見据え、「リオープニング(経済再開)銘柄」の押し目買いを行うことも一案だろう。
●多様性
このほど改定された企業統治指針も、女性活躍を推し進める一つのきっかけになると考える。新指針においては、東証1部を引き継いで2022年に発足する「プライム市場」に上場する企業に対し、取締役会の3分の1以上を「独立社外取締役」で構成するよう求めている。
海外投資家(特に年金などの機関投資家)は取締役会の多様性を重視する傾向が強く、取締役会に女性が一人もいない場合、経営トップの選任に反対すると表明した投資家もいるほどだ。そうしたなかでは、「なでしこ銘柄」のような人材多様性の切り口を考慮に入れる投資は、重要さを増してくると考える。
●DX(デジタルトランスフォーメーション)
9月に「デジタル庁」が正式に発足する。9月の解散、総選挙が意識されるなかで、ワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート(証明書)」をスマホやマイナンバー等に紐(ひも)づけ、食事や旅行、各種イベント・サービスなどを利用した者に対し、政府の割引特典を与える政策(「Go to ワクチン×デジタル」)が実施される可能性も捨てきれない。
そのような政策が実際に発動された場合は、リオープニング(経済再開)銘柄とともに、デジタルとしてのDX関連銘柄に資金が流入する可能性があるとみている。
以上のように、「健康経営」「多様性」「DX」といった切り口も、今後の日本株投資に活かしていきたい。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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