「オルタナティブデータ」を活用して景気の反転を予測する方法 (※写真はイメージです/PIXTA)

「オルタナティブデータ」とは、政府が発表するGDPなどの一般的な統計データとは異なる、ネットやSNSのワードや人の移動データなどの「非伝統的なデータ」のことを指します。今回は、このオルタナティブデータを活用して景気の底打ち・反転を予測する方法を見ていきます。

コロナショック後に「株価がV字回復」した背景

オルタナティブデータを活用するヘッジファンドの視点から、2020年3月のコロナショックによる急落後のV字回復の動きをどのように予測し、また個別銘柄の投資パフォーマンスにつなげていったのかについて考察してみたい。

 

日本株(日経平均株価)は2020年3月に1万6000円台をつけた後、反発基調となった。とはいえ、経済の回復が十分に実感できないなかでの3月を底にした株価回復に懐疑的な投資家も多かった。

 

IMF(国際通貨基金)は、2020年6月に報告書で日米などの株価上昇に対して投資家が過大にリスクをとっている可能性を指摘した。市場には、足元の株価上昇は大規模な金融緩和による過剰流動性がもたらしたバブル的な動きであり、株価は実体経済と乖離しているため、いずれ元の水準まで戻るとの慎重な見方(二番底懸念を含む)が強まっていた。

 

一方、代替戦略としての「オルタナティブデータ」活用の視点からは新型コロナウイルスの再拡大の動きにより、内需の消費関連データの伸びは鈍かったものの、世界景気の底打ち・反転など良好な製造業関連データが読み取れ、グローバルな景気敏感株の多い日本株の先行きに対して強気スタンスがサポートされていた。

 

ちなみに、オルタナティブデータとは、機関投資家などが伝統的に活用するデータ(政府や業界団体が公式に発表する統計データや企業の決算開示データなど)とは異なる非伝統的なデータを指す。

 

たとえば、①ネットやSNS(交流サイト)でのポジティブワード(改善、経済再開等のプラスの言葉)やネガティブワード(新規感染者数増加、ロックダウン等のマイナスの言葉)の集計データ、②人の活動・移動データ(たとえばNTTドコモ、アップル、Google等がスマホのGPS機能を活用し提供)や、③国・地域・エリアごとの経済・企業活動の活発度合い等を掴む衛星画像データ、④足元の消費動向を把握するPOS(販売時点)やカードデータ等が挙げられよう。

 

2020年3月からの株価急回復の裏には大量のデータ処理(高額データ購入含む)が可能で、クオンツ(数理・定量)的な運用を得意とするヘッジファンドなどがα(投資成果)獲得のため、複数のオルタナティブデータを積極的に活用し、投資行動を早めたこともあったのではないかと考える。

 

特に新型コロナウイルスの拡大で外出や人との接触の制限・自粛により、伝統的な統計の先を読む手段(実際の現場を目で見るなど)が制限されていたことはオルタナティブデータの優位性を高めていた可能性があろう。

 

政府や業界団体が集計する(通常ハードデータと呼ばれる)マクロ統計は公表スピードが遅く、また経済の実態を反映するまでにタイムラグ(時間的なずれ)がある。

 

そのため、直近の聞き取り調査などを基にしたソフトデータと呼ばれる指標、たとえば米ISM製造業景況指数や中国の製造業PMIなどが景気の底打ち・改善を判断するための伝統的な景気先行指数として使われることも多い。

 

景気拡大・縮小の節目となる50を上回ることで先行きの景気回復に期待が持てるようになるため、いかにこのソフトデータを事前に掴むことができるか、またこのソフトデータを裏付けるような個別企業の業績トレンドをすべての投資家が同じ情報を取得できる決算発表の前に合法的に掴むことができるかが重要になってくる。

 

そうしたときに、複数の精度の高いオルタナティブデータを持っていれば、投資パフォーマンスの差につながってくる可能性がある。

 

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東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

山一證券、メリルリンチ日本証券、損保ジャパンアセット(現SOMPOアセット)などでの富裕層・法人営業に加え、年金基金、投資信託のアナリストやファンドマネージャーとして新興市場やオルタナティブを含む幅広い市場・商品の担当責任者を経て、2016年に東海東京調査センター入社。

現職では短中期の戦術的資産配分(タクティカル・アセットアロケーション)やオルタナティブ投資(ヘッジファンド・テクニカルやコモディティ戦略含む)の視点を踏まえたグローバルな日本株の市場分析等を行う。他の代替資産・戦略としてJリート投資戦略、ESG投資戦略、行動ファイナンス投資戦略などもカバーしている。

英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA。アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院米国臨床心理学修士号(MA)。慶應義塾大学商学部卒。国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、国際テクニカルアナリスト連盟検定テクニカルアナリスト(MFTA)、CFP、英国王立勅許鑑定士(MRICS)、不動産証券化協会認定マスター、中小企業診断士。

日経CNBCなどのTV・メディアに出演。日経新聞、QUICK、ロイター、ブルームバーグ、時事通信、東洋経済オンライン、幻冬舎ゴールドオンラインなどでも執筆、コメントを行う。ヘッジファンド・テクニカルのキャリアとして世界のテクニカルアナリスト協会を束ねる国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)の理事などを歴任。早稲田大学ビジネスファイナンスセンターや同志社大学、青山学院大学等で講師を務める。

著書には投信営業に行動ファイナンスアプローチなどを活用した『会話で学ぶ!プロフェッショナルを目指す人の「投信営業」の教科書』(2021年)がある。

●オルタナティブ投資戦略(東海東京TV)
https://www.tokaitokyo.co.jp/tv/public/market/global.html

著者紹介

連載東海東京調査センター「オルタナティブ投資戦略取材レポート」

このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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