東大にあこがれがあるかどうかで結果は大きく違う
かつて東大を経て一流政治家に上りつめた人たちの子どもは東大には進学せず、けれども親の地盤をしっかり受け継ぎ、盤石の支持のもと、世襲政治家として当選回数を積み重ねていきました。しかも選挙区の人は、諸手を挙げて世襲政治家を応援しています。それを見た選挙区の子どもたちはどのように思うでしょうか。
「なんだかんだいって、結局は世襲で決まるんじゃないか」
「東大に入ったからといって、世襲で出世できる人に勝てないんじゃ意味がない」
そんなあきらめムードが数字にも反映されているようで、今、群馬県内の高校から東大に進学する生徒の数は、茨城県の約半数にまで低迷しているのが現実です。
実はこのような事象は、かつて岸信介や佐藤栄作といった、東大の中でも秀才中の秀才といわれた総理大臣を輩出しながら、現在は小学校から大学までエスカレーター式に進学できる私立校出身の人が地元のトップ政治家となっている山口県でも同様に起きています。
かつては県有数の進学校である山口高校だけで年数十人の東大合格者を送り出していた時代もありましたが、今では中国地方での東大合格者数は1ケタと最低レベルに甘んじています。つまり、子どものころから東大にあこがれたり、東大合格にリアリティを感じたりしていたかどうかで、結果は大きく違ってくるわけです。
今、中堅校に通っている中学生、高校生は、先輩の進学実績だけを見て、安易に自分の将来を決めつけないでいただきたいと思います。
先輩の実績を見て、自分の限界を勝手に作ってしまう。
それ以上に、もったいないことはありません。まずは、自分の力を信じることが大切です。東大合格への道はそこからスタートするのです。
■地方からでも東大に合格できる子、できない子
残念ながら今の日本では、受験塾や進学校も多い都市圏のほうが東大に合格しやすい環境が整っています。その一方で、地方では残念ながらそもそも東大を卒業した教師や塾講師自体がほとんど存在していない状況があります。
地方の進学校の先生は、勉強がものすごく好きで、一生懸命勉強した結果、教育大学に進学したようなタイプが多く見られます。
失礼な言い方になってしまうのですが、勉強のやり方としてはけっして要領がいい先生が多いわけではないのです。
そうした先生のもとで学ぶ場合、同じくらいの勉強量をこなして、やっと先生に追いつくことができるわけですが、現実にはそんな生徒はほとんど皆無です。同じやり方で勉強をしている限り、先生より下のレベルの大学に進学するのが関の山です。
昔より子どもの数が減っていて、大学の定員が増えているので、先生よりレベルの高い学校に進学することはあり得ますが、東大や医学部となると難しいでしょう。