(※画像はイメージです/PIXTA)

中高一貫の灘校に入学して、和田秀樹氏は初めて「大学受験までの6年間のペース配分」という発想があることを知ったという。しかも、灘校が進んでいたのは、ただ授業をしてカリキュラムをこなすだけではなく、徹底的に問題集を解いて、「受験に勝つ学力」をつけさせていたことだという。※本連載は、和田秀樹氏の著書『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房、2019年2月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

中学受験に失敗してもあきらめる必要はない

■子どもに「自分は頭がいい」と思わせる効果

 

都市部には、中学受験塾も私立の中高一貫校もたくさんあり、中学入学後も進学塾が充実しています。環境という意味では、地方と比較して優位にあるのは事実です。

 

ただ、残念なことに、こういった環境にないからといって東大受験は無縁だと考えてしまう親子が少なくありません。また、中学受験にチャレンジした場合、失敗したことによって、もう見こみがないとあきらめてしまうケースも多く見られます。

 

特に問題があるのは、親のほうです。中学受験の失敗を引きずるなんて、もったいないだけでなく不幸です。親が子どもに「自分は頭が悪い」と思わせて、よいことなどひとつもありません。

 

思い返せば、日本では太平洋戦争の間、勉強をしたくてもできないという経験をした人がたくさんいました。また、日本が貧しかった時代には、家計が苦しくて進学がかなわなかった人も少なくありませんでした。

 

そういった背景もあり、戦後は、子どもを大学に進学させたいという親たちの痛切な願いが爆発します。団塊の世代(1947~1949年生まれ)を中心に受験戦争が起こりました。もっとも、当時はまだ大学の進学率も低く、高校の進学率も7~8割程度でしたから、必死に勉強をしても大学に進学できない人が大勢いました。

 

私(1960年生まれ)の親は、いわゆる「昭和1ケタ世代」です。この世代の人たちも、子どもの勉強に熱心で、非常に前向きでした。10代のころに戦争によって奪われた学校生活を、せめて子どもには満足な形で送らせたいという願いが強かったのかもしれません。

 

少なくとも私の母は、私たち兄弟に向かって「自分は頭が悪い」などと思わせるような発言は一切しませんでした。それどころか、折に触れて「お前たちは頭がいい家系に生まれたのだから、幸運に感謝しなさい」などとけしかけていました。

 

今となっては何を根拠にいっていたのかも、よくわからないのですが、その思いこみに全面的に乗っかったのが「はじめに」で紹介した私の弟でした。弟は、根拠もなく「自分は東大に合格できる」と信じ、中学受験に失敗したのに、私から教えられた勉強法を実践して、本当に東大に合格してしまったのです。中学受験に成功したかどうかは、東大合格と無関係なのです。

 

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公立・私立中堅校から東大に入る本

公立・私立中堅校から東大に入る本

和田 秀樹

大和書房

教育書を多数執筆し、多くがベストセラーになっている実績をもつ和田秀樹氏の渾身の書。 2020年の入試改革への備えにもふれ、具体的なノウハウを数多く入れた。 いわゆる「地頭のいい子」でなくとも、東大を目指せる、合…

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