(※写真はイメージです/PIXTA)

一戸建てよりもマンションを選ぶシニア層が増えています。築年数の経過したマンションほど70歳以上の割合が高くなりますが、災害時の安否確認等や孤独死発見の遅れなど、管理組合は苦慮しているのが現状です。年金への不安から、賃貸戸数の増加も生んでいます。お金をかけない地域コミュニティ形成や、マンションを取り巻く現況について見ていきましょう。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

高齢化と賃貸戸数の増加で管理組合が機能しない

組合員の高齢化と賃貸戸数の増加で、役員のなり手がいないという問題がどこのマンショでも深刻です。

 

高齢化といっても、最近の高齢者はお元気な方が多く、管理組合の理事会の役員の職責くらいは平気でこなすことは可能です。

 

しかしながら、ご家族も高齢になっていることからご家族の中に介護が必要な方がおられるご家庭も多く、管理組合運営より介護の方が大切という理由で役員を辞退なさる方が増えているのも現状です。

 

マンションの管理組合の役員のなり手不足は大きな社会問題となっているという。(※写真はイメージです/PIXTA)
マンションの管理組合の役員のなり手不足は大きな社会問題となっているという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

また、賃貸戸数の増加で役員資格がない組合員が増えました。

 

以前のマンション標準管理規約には、役員(理事、監事)の資格に「理事及び監事は、XXXマンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する」との規定があったため、マンションを賃貸に出すと現に居住していないことになり、役員になりなくてもなれなくなってしまったのです。現在でもその規約を採用しているマンションは多くあります。

 

そこで、標準管理規約が平成23年に改正されて「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。」と改められました。

 

ところが実務では、毎月や隔月に開催される理事会に遠くから電車に乗ったり、バスに乗ったり、車に乗ったりして出席することは外部に住んでいる役員にとっては負担が大きくやはり辞退する方が多くなりました。

 

役員のなり手不足は大きな社会問題です。

 

これを、解消するには、役員資格を緩和して「理事及び監事は、XXXマンションに現に居住する組合員および、組合員の二親等以内の親族、配偶者のうちから、総会で選任する。」と規約を改正することで役員のなり手不足を解消しているマンションもあります。

 

最近では、事実婚の内縁関係の方と一緒にお住いの組合員も多いことから「理事及び監事は、XXXマンションに現に居住する組合員の家族のうちから、総会で選任する。」と規約を改正しているマンションもあります。

 

それでも、役員のなり手がいない場合には、専門家を活用することも一つの方法です。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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