「これで安心できる」夫婦で決めた高級ホームへの入居
康夫さん(仮名・78歳)と妻の幸子さん(仮名・76歳)は、数年前に自宅を売却し、高級有料老人ホームに入居しました。
夫婦の年金収入は月30万円ほど。さらに自宅売却による資金と預貯金を合わせ、総資産は約9,000万円ありました。
「子どもたちに迷惑をかけたくなかったんです。自分たちのことは自分たちで完結させたいと思っていました」
選んだ施設は、都心からもアクセスがよく、医療連携や食事サービスも充実しているところでした。入居時には高額の一時金を支払いましたが、「これで将来の不安は減る」と考えていたといいます。
「見学に行ったとき、スタッフの対応も丁寧で、ここなら安心できると思いました」
入居当初の生活は快適でした。食事は毎日用意され、清掃も行き届いている。体調に不安があればすぐに相談できる環境も整っていました。
「自宅にいたころよりも、ずっと楽でした。これなら長く暮らしていけると思っていたんです」
しかし、その“安心”は、徐々に揺らぎ始めます。
最初に違和感を覚えたのは、月々の費用の内訳を改めて確認したときでした。基本利用料に加え、食費、管理費、医療連携費、さらにオプションサービスが積み重なり、想定よりも支出が増えていたのです。
「最初は“こんなものか”と思っていたんですが、毎月の金額を見ると、思っていた以上に減りが早いと感じるようになりました」
さらに、介護度が上がった場合の費用や、将来的な追加負担について説明を受けたことで、不安は一気に現実的なものになりました。
厚生労働省『令和4年 介護サービス施設・事業所調査』では、有料老人ホームの費用は施設やサービス内容によって大きく異なることが示されています。特に介護度の上昇に伴い、追加費用が発生するケースも多く、長期的な資金計画が重要になります。
「このままここに住み続けたら、資産がどれくらい持つのか、急に気になり始めました」
