地震に強いマンションの「構造上のポイント」とは?
Q3:地震に強いマンションの構造上のポイントを教えて下さい。
A3:ここでは、過去の大地震で被害にあったマンションの特徴から、地震に弱いマンション、強いマンションの構造上のポイントをまとめてみました。
弱 1階店舗(大部屋式)の俗にいう下駄履きマンションは1階が弱く、被害を被る割合が大きい。
弱 1階に駐車場があり、ピロティ形式であるものの地震被害が大きい傾向にある。
弱 容積率・建ぺい率違反のマンションで問題が起こっている。
弱 L型の平面型は地震被害が多い傾向がある。
弱 H型のつなぎ目に、エキスパンションジョイントのないものはほとんど地震の被害にあっている。
弱 高層マンションで、途中階で構造が異なるものの被害が多い傾向がある。
弱 鉄骨構造の場合、溶接部分の施工不良のものは、被害を受けやすい。
要注意 耐震偽装されていないかを確認する。
要注意 1981年以前に竣工したものに、比較的地震被害が多く、また、補強していなければ今後被害が出る確率が高い。
強 支持杭で固い地盤に建物が固定されている場合、発見されている活断層に平行に建っている建物は地震に強い。
Q4:中古マンションを購入するときの注意点を教えて下さい。
A4:中古マンションを購入するときの注意点として、まずそのマンションに欠陥がないか(項目①)、維持管理はきちんとしているか(項目②)を確認しましょう。また、そのほか(項目③)にもマンションに関わる権利・所有関係のチェック、周辺環境のチェック、住民同士のコミュニケーションも確認するようにしましょう。気になる点があるときには、購入前に第三者の建築士などの専門家に相談するとよいでしょう。
項目①:マンションに欠陥がないかの確認
◆設計図書等を見せてもらい、内容を確認する。
◆過去に雨漏り、床の傾き、壁のヒビ、カビが生えたなどがなかったか。
◆両隣、上下階からの生活騒音が聞こえないか。
◆かつて、火災を出したことはないか。または、上階の火災により冠水したことがなかったか。
◆上階から水漏れしたことが過去になかったか。
◆水廻り(トイレ・台所・浴室・洗面所等)の変更の有無。
項目②:維持管理はきちんとしているか
◆長期修繕計画もなく、修繕も定期的に実施されていないものは絶対に避ける。
◆必要な修繕費の積み立てのないマンションは避ける。
◆販売会社や管理会社関係の息のかかった理事で構成された理事会のマンションは避けたい。
◆持ち回りでも、理事や役員の当番を回避しない区分所有者の多いマンションがいい。
◆水質検査のほかに定期的に建物検査をしているもののほうがよい。
項目③:その他
◆マンションを購入する際には、専有部分と同時に、共用部分の所有関係もチェックする(契約書の末尾にある物件目録で調べる)。
◆等価交換方式で、元地主の持分の多いものは問題が生じる。
◆不在所有者が多いマンションは避けたい(いわゆる営利目的のマンション)。
◆雑居マンションは問題が生じやすい。
◆企画・施工会社の系列会社が管理しているものに問題が生じやすい。
◆敷地地盤のよいマンションのほうが安全。
◆工場等火災時に有毒ガスを発生する施設が近隣にない環境のほうがよい。
◆現在、目の前が空地でも、将来的に開発される可能性がある(用途地域・土地の権利関係を確認する)。
◆マンションの自治会活動は活発なほうがよい。
◆プライバシーを損なわない程度の助け合いネットワークができているマンションがよい。
大川 照夫
一級建築士
特定非営利活動法人建築Gメンの会 理事長
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