欠陥住宅をつかまないためには、工事がスタートした後の行動も重要です。施工業者に任せきりにせず、現場に足を運び、工程を把握・監視することがオーナーには求められます。これまで数多くの「悩める欠陥住宅オーナー」を助けてきた、特定非営利活動法人建築Gメンの会理事長で一級建築士の大川照夫氏が、特に注視すべきチェックポイントについて解説します。

工事中、オーナーが確認すべき「7つの注意点」

Q1工事中の注意点を教えて下さい。

 

A1工事に着手したら、施工業者にまかせっきりではいけません。工事中は、次のことに注意しましょう。

 

1. 工事工程を把握する。

 

施工工法によって工期は異なります。工事の流れを、時間の経過にそってまとめた「工程表」を請負会社から必ずもらい、工法毎にふさわしい期間をかけて施工しているか確認しましょう。

 

2. 定期的に現場に足を運ぶ。

 

定期的に現場に足を運び、工事中の写真や記録をとりましょう。このことは、証拠を残すという目的以外にもっと大切な、工事人とのコミュニケーションを十分に図ることにつながります。

 

3. 定期的に打合せを行う。

 

打ち合わせは、①定期的に行う、②必ず記録をとって、その場で決定事項を確認し、書面(打合せ記録)を作成して関係者が書面捺印、コピーをとり各人が保管する、③設計変更などの場合は「それに伴う金額を提示してもらい、確認する」という手順を励行することが重要です。後々、言った言わないのトラブルを軽減します。

 

4. 第三者の建築士に一緒にみてもらう。

 

どんなに勉強をしても、建築は素人には分からない部分が多いため、特に基礎工事、上棟時、引渡し時には、利害関係のない第三者の建築士に一緒にみてもらいましょう。

 

5. 地縄張り地業に立ちあう。

 

地縄張り地業とは、建築士が紙に書いた設計図を、本当の敷地の上に「縄を張って」書き込む、住まいづくりで「初めての実感が得られる」工事です。このとき、紙の上で検討していた段階ではわからなかった問題(隣地との間隔など)が初めてわかるものなので、必ず立ち会って確認しましょう。

 

6. 地盤調査を行う。

 

地盤調査を行い、地盤にかなった基礎を施工してもらいましょう。安全な基礎の上に、はじめて安全・安心な家が建ちはじめます。

 

7. おかしなところをみつけたら…

 

①証拠を固め、②書面に仕上げ、③工事の請負契約者に対し、④所定の期間を設けて、⑤書面による回答を求める、のが基本です。書面による回答が施主に届いたら専門家と施主が相談して、請負工事業者の回答が妥当なものであるか検討します。検討の結果、妥当であれば和解して補修工事を指示するし、回答が納得できないならば改めて突っ込んだ話し合いをします。

 

構造上の欠陥は、通常、内装工事の前に補修しなければ修補不能となるため、請負人は一旦工事を中止して、欠陥を補修しなければなりません。注文者は、相当の期限を定めて欠陥の補修を催告し、請負工事業者がそれを履行しないときは、請負人の債務不履行を理由として請負契約を解除することができます。契約を解除した場合、欠陥のない既施工部分の工事代金は原則として支払う必要があります。

 

ただし、注文者は欠陥の補修工事及び残工事に要する費用のうち、当初の請負代金中の未施工部分の補修相当額を超える額の損害賠償請求ができ、未払い代金との相殺ができます。工事中のおかしなところを見つけたら、まずは第三者の建築士などの専門家に相談しましょう。

 

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本記事は、「欠陥住宅問題に取り組む第三者検査NPO - 建築Gメンの会」のウェブサイト(https://www.kenchiku-gmen.or.jp/)から転載・再編集したものです。

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