福岡圏の物流マーケットは、まだまだ拡大の余地あり
福岡県の経済規模等に鑑みて、そのLMT市場には未だ拡大余地があると考えられる。まず、福岡県の主な指標をみてみると、同県は、人口501万人(2020年)、県内総生産は20兆円で、Figure3の通り、主な指標で上位10県内にランキングする経済規模をもつ。
これらの経済指標とLMTストックを大都市圏間で比較してみよう。すると、福岡圏のLMT面積は、人口1,000人当たりでは首都圏の1/3、県内総生産10億円当たりでは同1/2、製造品出荷額100万円当たりでは同1/4の面積に過ぎない。近畿圏と比べても、1/2程度のLMT面積しかないことがわかる。従って、テナントの要望に適合するような新しいタイプの物流施設は、福岡圏では不足しているといえよう。
福岡圏の物流マーケットにはまだまだ拡大余地があると各デベロッパーに認知されてきた所以である。ちなみに、中部圏のLMTストックもその経済規模に鑑みてまだまだ少なく、拡大の余地があると考えられている。実際、中部圏でも2022年以降の開発計画は増加している。
首都圏、近畿圏などでの開発投資が増加し、参入プレーヤーが増えて用地を取得しにくくなったこともまた、デベロッパーが地方都市の開発に目を向ける要因となっている。
福岡圏の大型物流施設…2022年の「空室率」予測
従来の福岡圏の物流マーケットは、福岡市内近郊と鳥栖インターチェンジ周辺に大きく分かれており、それぞれ半径10km程度に集中していた。地形的な制約等により、物流施設開発に適した、まとまった面積の用地が市場に出てきにくいという面もあった。
しかし、2021年以降の開発計画は、大規模な土地造成を利用した新興立地にダイナミックに広がる。福岡インターチェンジを中心とする半径30km圏内に広く分布し、鳥栖まで一つの商圏とするような広がりである。
新興立地では、物流会社の集積や立地の認知度が低いことから、既存立地よりはテナント決定に時間を要する可能性はある。しかし、これまで考察したとおり、福岡圏の潜在的な物流需要は旺盛で、すでに複数の物件で内定が進んでいることから、今後の需給バランスが大きく崩れることはないだろう。これまで物流施設を借りることに抵抗があった地元企業の間でも、先進的物流施設の利用が定着していくと考えられる。
福岡圏LMTの空室率は2022年Q4に3.7%と、2020年Q4(0%)に比べてわずかながら上昇はするものの、依然として低い水準にとどまると予測する。実質賃料指数は、同期間に3,150円/坪から3,380円/坪に上昇(+7.3%)する見込みである。
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