大邸宅にひとり暮らしする老婦人は、土地持ちの亡夫から数多くの収益不動産を相続しました。しかし、時間の経過とともに、かつては高収益を上げていた複数のマンションも「負動産化」が進み、現金収入が減り続けてしまいます。母親の財産状況を不安に思う娘たちが取った選択肢とは? 相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

資産は最初の形状にこだわらず、姿を変えて活用を

筆者は、200坪もある広い自宅に年取った母親がひとり暮らししているのは効率が悪いため、売却してバリアフリーでコンパクトなマンションに住み替えるか、隣地の次女の家に同居することが合理的だと判断し、提案しました。小規模宅地等の特例が使えないので、貸付用の特例を使うことも選択肢のひとつでした。

 

 

そして賃貸マンションですが、経営の維持には賃料アップが必須であるため、サブリース契約を解消し、普通管理で賃料の差額を確保する方法も選択肢として浮上しました。しかし、賃料がアップできたとしても、築年数が経過しているため満室の維持は難しく、修繕費の支出も増える一方となりますそのため、なるべく早い段階で売却し、新しい物件に買い換えることを提案しました。

 

河野さん一家は、筆者の提案に納得し、資産組み換えに着手することになりました。

資産家の方々のなかには、先代から引き継いだときのまま、ずっと同じ形状で財産を保有し続けようする方が多くいます。しかし、 今回のケースを見ても、200坪の大邸宅は一見するとすばらしいものですが、年間に250万円の支出があるようでは、とても「資産」とはいえません。そのまま持ち続けたところで、子どもたちのためにもならないのです。

 

財産は時代に合わせて維持できるような形に変えて、負担なく持ち続けられることが本当の意味での価値となりますので、柔軟な対応が必要となります。

 

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営80代するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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