ファイナルファンタジー、キングダムハーツ、スーパーマリオシリーズなどの制作に携わった菱沼寛章氏は書籍『ゲームは子育てを助けられる ゲーム制作から考える子育て攻略本』のなかで、ゲームと教育の意外な関連性を指摘しています。

「テトリスみたいなゲーム」という表現がNGなワケ

ゲーム内では「やってほしい」ことを明確にするだけでなく、やり終わった後で「うまくいった」「うまくいかなかった」という結果も明示します。「ステージ1クリア」とか「1面クリア」といった言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、区切りをつけて、敵を何体倒したのかアイテムを何枚獲得したのか、などの結果を表示します。

 

つまり、クリアのための条件「どうやったら成功と認められるのか?」を示す必要があり、この明確さがゲームが支持される一因になっています。親御さんの「やってほしい」ことも同じです。目指すべき目標やそのためにやるべきことや順番などをお子さんと共有し、結果に対して的確にフォローできれば、お子さんはもっと○×をやりやすくなると思います。

 

そしてゲームは、制作現場でも同様に「やってほしい」ことを曖昧にしません。「遊んでほしい」「やってほしい」と考えている箇所は、つくる側がよく考え、自信を持って提供している部分です。そのために、「やってほしい」ことをあれこれ広げないことや明確にすることを重視します。

 

その曖昧にしない例として、つくりたいゲームを「〜みたいなゲーム」とは説明しない、というのがあります。「テトリスみたいなゲーム」「マリオみたいなゲーム」などと、チームや会社に明確に説明できない状態ではプレイヤー側には何も届きません。

 

親御さんの「やってほしい」〇×は、「〜みたいな」という言いまわしにはならないかもしれませんが、「周りのみんながやらせている」とか「それをやらせると良いとよく言われている」といった理由で決めたとしたら、もう一度考えてみる必要があります。

 

ゲームにはジャンルごとにさまざまな種類や特性、つまりは個性が存在するので、制作の手法もその分だけ数多くあります。ただし、タイトルの個性ごとで進め方に差はあっても、ゲームの面白さなどの本質へのアプローチは大きくは変わらないので、そこを押さえていきましょう。

 

この記事を読んでいる親御さんが実際に「やってほしい」○×にも、お子さんの能力や性格、環境の違いなど、いろいろなケースがあると思いますが、同じ「やってほしい」をクリアするために行うゲーム制作の考え方が、○×を考える上での何かしらのヒントになると信じています。

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菱沼 寛章
1973年1月27日生まれ。宮城県仙台市出身。仙台第二高等学校卒業、明治大学理工学部電気電子工学科卒業。大学卒業後、スクウェア(現 株式会社スクウェア・エニックス)入社。ファイナルファンタジー、キングダムハーツなどの制作に関わり、2010年 任天堂株式会社に中途入社。スーパーマリオシリーズ、3タイトルなどに関わり、2019年までの22年間、ゲームプランナー業務に従事。現在もフリーランスで継続中。

【関わった主なゲーム】
ファイナルファンタジーⅧ、X、X―2、XⅢ
キングダムハーツ
進め!キノピオ隊長
スーパーマリオ3Dランド、3Dワールド 、スーパーマリオオデッセイ

 

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ゲームは子育てを助けられる ゲーム制作から考える子育て攻略本』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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