いま、弁護士や税理士などの士業は過渡期を迎えようとしています。「AIに仕事が奪われる」との声も……。しかし、士業のすべてなくなるわけではなく、人間にしかできない仕事がまだまだあります。AIやITなどの技術革新が続くなか、士業の仕事に付加価値をつける方法を税理士、公認会計士、心理カウンセラーとして活躍する著者が明らかにします。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

求められる情報は「人柄」という理由

人間性や人柄を表現する

 

仕事をだれかに依頼するとき、実績や経歴は立派でも、誠実に対応してくれるか、愛想が悪くないか、雰囲気が冷たくないかといった人間的な要素が気になるものです。

 

閲覧者は「代表者挨拶」や「スタッフ紹介」など「人」に関するページをよく見るとお伝えしましたが、これも人間的な要素を確認したい意識の表れといえます。そのため、人間的にも信頼できると感じてもらうような情報発信も顧客獲得には重要です。ホームページの「代表者挨拶」や「スタッフ紹介」である程度は伝えられますが、人柄まで伝えるのは難しいでしょう。

 

そこで、その部分はブログやフェイスブックを活用します。ブログやフェイスブックには、日常の出来事や思ったこと、気づいたことなどを日記のように書いていきますが、そういった記事の行間に自ずと人となりや人柄が表れます。また、複数の記事を読むことで、考え方やポリシー、生き方といった部分も伝わっていきます。

 

行政書士の石下貴大氏は、開業前から丸10年、一日も休まずにブログを書き続けています(https://ameblo.jp/fc-ishige/)。今では行政書士向けのオウンドメディアでも書いています(https://magazine.gyo-gaku.com/)。ここまで書き続ける理由は、それだけ結果が出ているからであり、新規顧客の7割はウェブからの問い合わせとなっています。

 

石下氏のホームページ分析によると、閲覧者はまずは「事業内容」を確認し、その後、ホームページ内にリンクを貼ってある石下氏の「ブログ」を経由して、「お問い合わせ」のボタンをクリックする傾向が強いという結果が出ています。この結果から、もしホームページにブログのリンクを貼っていなければ、これほどウェブからの問い合わせは来ていないだろうと石下氏は話します。

 

この傾向からも、いかに「人」の表現が重要かがわかると思います。「人」を表現して事務所の考え方やポリシーに共感してもらえれば、他に価格が安い競合がいても自社を選んでもらうことができるようになります。また、閲覧者にブログのファンになってもらえると、実際にお会いした際に「お会いできて嬉しいです」と言われることもあります。さらには「人」の部分に共感してもらえれば、新しい顧客の紹介につながる可能性は大きく高まります。

 

士業のブログやSNSの投稿は、法律や会計関連のニュースとそれに対するコメントだけでプライベートの記事がほとんどないケースが多いと感じます。だからこそ、人柄が伝わる情報発信がより一層重要になります。

 

各媒体の認知度を高める

 

次にホームページやブログ、フェイスブックで発信した情報の認知度を高めるアクションも必要です。そのために取り組みやすい方法としては、交流会や勉強会で知り合った人の各媒体への誘導です。たとえば、交流会で知り合った際にフェイスブックで友達になってもらい、フェイスブックにブログ記事を投稿し、ブログにホームページのリンクを張って見てもらう流れを作れば、フェイスブックやブログ、ホームページの認知度を上げられます。

 

コストをかける場合は、広告を打ってホームページに誘導する方法もあります。さらにホームページにブログのリンクを貼ることで、広告→ホームページ→ブログという流れを作ることもできます。また、かなり時間はかかりますが、ホームページやブログ内に記事を書きためると、記事の数だけ検索されやすくなり、認知度を高められます。

 

藤田耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー

 

 

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経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

藤田 耕司

日本能率協会マネジメントセンター

AIの利用が広がるにつれ、多くの士業が「定型的で単純な手続き業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めています。 起業して新事業を始めたり、いち早くAIを取り入れたりするなど、業務の見直しに取り組む動きも出始…

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