いま、弁護士や税理士などの士業は過渡期を迎えようとしています。「AIに仕事が奪われる」との声も……。しかし、士業のすべてなくなるわけではなく、人間にしかできない仕事がまだまだあります。AIやITなどの技術革新が続くなか、士業の仕事に付加価値をつける方法を税理士、公認会計士、心理カウンセラーとして活躍する著者が明らかにします。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

顧客開拓ルート「他士業、他業種からの紹介」

士業の主な顧客開拓ルートには、いろいろありますが、今回は「他士業や他業種からの紹介」について考えていきましょう。

 

新たな接点を作り、相互協力体制を作る

 

既存のお客様からの紹介と同様、他の士業や不動産会社、保険会社、銀行など、その道の専門家からの紹介においても、「信頼できる人に依頼したい」という心理がお客様に働くため、このルートも相場の影響を受けにくく高い成約率となる重要な顧客獲得ルートです。このルート強化のためにいかに他士業や他業種と接点を築くかについてお伝えします。

 

新たな接点を作るには、交流会や勉強会への参加が一般的です。私は2004年から経営者と士業を対象とした交流会や勉強会を毎月主催しており、また、自分も他の交流会にも参加してきました。これらのご縁から多くの仕事につながった私の経験も踏まえて、交流会の活用のポイントをご紹介します。

 

名刺交換だけでは、新しい顧客開拓につながらないという。(※写真はイメージです/PIXTA)
名刺交換だけでは、新しい顧客開拓につながらないという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

次につながる出会いを見つける

 

交流会への参加経験がある読者もたくさんいると思いますが、交流会をきっかけに継続的な付き合いが続いている、または仕事につながるケースはどれほどあるでしょうか。名刺が増えるばかりで何の展開もない方も少なくないと思います。

 

交流会から新たなビジネスチャンスを広げるうえで重要なことは、まずどういった人とどういった展開になるのが望ましいかということを事前に何パターンか整理しておくことです。これができているかどうかでビジネスチャンスが広がる確率が大きく変わります。

 

そして、私は交流会では「いかに多くの人と出会うか」よりも、「だれと密な時間を過ごすか」を意識します。ある程度の方と名刺交換をしたら、それ以上の名刺交換はせず、その中からこれぞと思う人と深く話していきます。だれと密な時間を過ごすかの判断基準については、仕事につながりそうな人という基準に加えて、社交性と誠実さが感じられる人という基準も重要です。誠実さを見極めるのは簡単ではありませんが、話し方、言葉遣い、話の聴き方、表情、周囲への気遣いなどから伺い知れます。

 

社交的で誠実な人は「与えられたらきちんと返す」という意識があり、長期的に相互協力関係を築きやすくなります。また、「類は友を呼ぶ」で、誠実な人の周りには同様に誠実な人が多いため、安心して紹介を受けたり、こちらも人を紹介できたりします。

 

こうした人は多くの場合、現在の状況や肩書きがどうであれ、いずれ頭角を現してそれなりの地位に就くようになります。独立していれば着実に事業を伸ばしていきます。これは私が交流会を長年開催して、目の当たりにしてきたことです。

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