いま、弁護士や税理士などの士業は過渡期を迎えようとしています。「AIに仕事が奪われる」との声も……。しかし、士業のすべてなくなるわけではなく、人間にしかできない仕事がまだまだあります。AIやITなどの技術革新が続くなか、士業の仕事に付加価値をつける方法を税理士、公認会計士、心理カウンセラーとして活躍する著者が明らかにします。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

「安さ」より「信頼の高さ」が重要な理由

安さよりも信頼の高さで勝負する

 

昨今ではウェブでの誇大な表現や広告が氾濫しているため、多くの利用者はホームページやウェブ広告の情報に懐疑的です。そのため、事務所の業務内容が理解できても、すぐには問い合わせずに、その事務所が能力的にも人間的にも信頼できるか確認したいと考えます。

 

安ければ信頼性はそこまで重視せずに依頼する方もいらっしゃるでしょう。しかし安い価格で受けた仕事は当然利益を出すのも難しく、安さ優先で依頼されるお客様にはその後の提案にもつながりにくいので、対象顧客としては望ましくありません。

 

しっかりと利益の出る価格で受注し、その後の提案にもつなげるためには、「安ければいいというわけではなく、信頼できる人に依頼したい」というニーズを持った方を対象として、能力的信頼と人間的信頼を築いていくマーケティングが必要です。

 

そこでまずウェブ上で能力的信頼を表現するということについてお伝えします。

 

能力の高さを表現する

 

能力的な信頼を得るには、能力の高さやサービスの質の高さが感じられる情報を掲載する必要があります。特にコンサルティング業務については、だれがその業務を行うかでサービスの質に大きな差が出るので、こうした情報の掲載はより重要です。

 

ホームページの閲覧者はどこに注目するかを分析すると、「代表者挨拶」や「スタッフ紹介」など、「人」に関するページに多くのアクセスが集まる傾向があります。そのため、「人」に関するページで能力の高さを表現することが効果的です。

 

ただ、士業のホームページの「人」に関するページは、「代表者挨拶」で顔写真と経歴が掲載されているのみというケースがよく見られ、「スタッフ紹介」もないところがほとんどです。これでは閲覧者に能力的信頼を感じてもらうことは難しいでしょう。

 

そのため「代表者挨拶」では顔写真と経歴に加え、これまでの実績を数字で表現することや、「スタッフ紹介」を設けて顔写真と経歴、実績を掲載することは効果的な方法です。また、「お客様の声」のページを設けることで新たに「人」に関するページができ、閲覧者が第三者の感想を見ることで、能力的信頼の伝わり方はずいぶん変わります。

 

これらはウェブマーケティングの方法としては一般的な方法ですが、士業の業界ではこれらが丁寧に表現されたホームページは多くありません。特に、高付加価値の業務を獲得するうえでは、こういった点を丁寧に表現する必要性は高くなります。

次ページ求められる情報は「人柄」という理由

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