部下やパートを「急成長させた」会計事務所のスゴい仕事術

いま、弁護士や税理士などの士業は過渡期を迎えようとしています。「AIに仕事が奪われる」との声も……。しかし、士業のすべてなくなるわけではなく、人間にしかできない仕事がまだまだあります。AIやITなどの技術革新が続くなか、士業の仕事に付加価値をつける方法を税理士、公認会計士、心理カウンセラーとして活躍する著者が明らかにします。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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領収書の整理や仕訳の入力は、付加価値が高くない

従事する業務の内容を見直し、将来の業務に投資する

 

仕事に対する意識を変えることに加えて、今後に向けた能力の育成も重要になります。自動化されやすい業務に従事する時間を減らし、自動化されにくい業務に従事する時間を増やして、部下がAI時代においても付加価値を発揮できる能力を戦略的に養っていく必要があります。

 

そのためには、自動化されにくく付加価値の高い業務を優先的に受注し、自動化されやすく付加価値の低い業務の受注は控えるか、受注しても極力効率化する対応が必要です。

 

私の会計事務所では、領収書の整理や仕訳の入力といった付加価値が高くない業務は基本的にはお請けせずに、お客様の側で対応していただいています。もちろん、ただ「お請けできない」と伝えるのではなく、お客様が効率的に作業できるための仕組み作りをします。こういった仕組み作りのコンサルティングは自動化されにくい付加価値の高い業務です。

 

銀行借入や補助金などの資金調達、節税、経費削減、経理業務の効率化に関する提案や、見込み客や提携先を紹介するなどの経営の支援を行うという。(※画像はイメージです/PIXTA)
銀行借入や補助金などの資金調達、節税、経費削減、経理業務の効率化に関する提案や、見込み客や提携先を紹介するなどの経営の支援を行うという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

目の前の売上を追いかけるのであれば、付加価値が高いかどうかにかかわらず来た業務は受注すればよいと思いますが、私は「将来性」という観点から受注するかどうかを判断しています。

 

こうして自動化されやすい業務の時間を極力抑える一方で、銀行借入や補助金などの資金調達、節税、経費削減、経理業務の効率化に関する提案や、顧問先の営業につながりそうな交流会や勉強会のご案内、見込み客や提携先を紹介するなどの経営の支援を行います。スタッフは顧問先の経営をよくするための情報にアンテナを張り、必要な能力を身につけてくれています。そのために必要なセミナーの受講や、書籍の購入も、私は奨励、補助しています。

 

顧問先の社長から弊所の担当スタッフについて「〇×さんからいろんなご提案をいただいて本当に助かっています。〇×さんはうちの参謀役ですから、〇×さんなしではうちの経営は考えられません」といったお声をいただくことがあります。こういったお声は、所長の私としても非常にうれしく思っています。そして、顧問先とのこうした関わりこそが、今後求められる士業のありかただと考えています。

 

目先の収益も大切だが、将来性がなければ未来はない

 

もちろん、「目の前の収益を伸ばすことを後回しにしてでも、とにかく将来のことを優先すべきだ」という訳ではありません。いずれは自動化される可能性が高い業務でも、事務所の運営維持のための収益を確保するためには、受注し、従事してもらう必要もあります。ただ、そうした状況でも、将来の部下と組織の成長のために、部下が従事すべき業務はなにか、身につけるべき能力はなにか、という視点は必要です。

 

「近い将来この商売ではやっていけなくなるのは薄々わかっていました。でも、日々の現場を回すのに精一杯で、会社の将来まで考える余裕がありませんでした」──市場の変化への対応が後手に回り、事業の単価が下がり、いくら働いても利益を出せなくなった結果、会社をたたむことになった経営者からこのような話を聞いたことがあります。

 

これまで士業は、国の制度もあり一定の需要が確保されていました。しかし、技術の進歩によってその需要が失われるおそれがある今後の時代においては、士業も将来に向けて人材の育成を戦略的に進めていく必要があります。そこで次に、戦略的な人材育成を進めるための組織体制作りについてお伝えしていきます。

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士 税理士 心理カウンセラー 

19歳から心理学を学び、心理カウンセラー等の複数の心理系資格を取得。2011年に監査法人トーマツを退職し、コンサルティング会社と会計事務所を設立。人材育成から労務問題、採用、営業、マーケティングまで幅広い分野で、これまでに1,000件超の経営相談を受け、数字と人間心理の両面から経営改善を行う。また、これまでの経営改善事例から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理、自己の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営指導の成果を大きく高める。
現在、経営者人材や経営参謀の育成を目的として経営心理学を伝える経営心理士講座を主宰。全国から経営者や士業が集まっている。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社)、『もめないための相続心理学』(中央経済社)がある。

著者紹介

連載AI時代に「経営参謀」として生き残る士業のバイブル

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

藤田 耕司

日本能率協会マネジメントセンター

AIの利用が広がるにつれ、多くの士業が「定型的で単純な手続き業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めています。 起業して新事業を始めたり、いち早くAIを取り入れたりするなど、業務の見直しに取り組む動きも出始…

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