空き家急増…資産が「世代間の重荷」に変わっている
認知症の人への対応、医療・介護施設へのアクセスが目の前の難問だとすると、次の大きな波は二〇三五年、団塊の世代が八五歳の平均寿命に達したころに押し寄せてきます。「看取り」に続いて、住戸の相続に絡んで空き家がどっと増えそうです。
現時点で、社会保障の持続性が危機的なように、住宅を親から子へ、子から孫へと住み継ぐことに赤信号が灯っています。総務省の「住宅・土地統計調査(二〇一八年度)」によれば、空き家総数は八四六万戸、空き家率は一三・六パーセント。所有者が転居、もしくは亡くなった後も売却や賃貸されない空き家が急増しています。
「国民の生命、健康及び財産の保護」(建築基準法第一条)を図るはずの建築物が資産にならず、世代間の重荷に変わっているのです。空き家問題の根底には、新築住宅の供給過多と中古住宅の流通量の少なさが横たわっています。
日本の全住宅流通量に占める既存住宅のシェアは約一四・七パーセントと、欧米諸国のわずか六分の一程度です。欧米とは建築文化や大地震の有無、消費者の嗜好に違いがあるとはいえ、なぜ日本では住宅が余っているのに毎年、一〇〇万戸ちかくも新築が市場に投入されるのでしょうか。よく持ちだされるのが新築の経済波及効果です。
住宅の建設は、自動車や家電、建材など広範囲に好影響を及ぼし、生産誘発効果が大きく、雇用、景気浮揚に結びつくと考えられてきました。しかし経済が右肩上がりならまだしも、購入する側の余裕はなくなっています。働く人全体の約四割を非正規労働者が占め、大企業でも四〇代の給与は減少傾向です(内閣府レポート二〇一八年六月二五日)。
新築の経済波及効果は精査が必要です。むしろ、新築に偏った住宅供給は不動産・建設業界のビジネスモデルの底の浅さを物語っています。「新築・売り抜け」のヒット&アウェイ戦法がくり返されているのです。
開発業者は、土地の取得費や建設費の初期投資をなるべく早く回収し、次の標的を狙おうとします。その思惑に分譲型のマンションはぴたりと当てはまります。住戸を引き渡せば、めんどうな維持管理の責任を購入者に被せて、手離れできるからです。
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