ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

介護に行き詰まりを感じはじめたら?

仕事をしながら完璧な介護は絶対にできない

 

仕事を持っている人は、毎月お金が入ってきますが、その対価として労働をしているわけで、介護の時間が限られています。母に軽い褥瘡が見られたとき、夜間、2時間おきに定期的な体位変換をしてくださいと看護師から助言されました。もちろん、正しいのですが、私はいつ寝ればよいのでしょうか? 昼間は仕事で夜は在宅介護で夜勤者の役目。それを求めるのは酷というものです。

 

好きで飼っているので文句は言えませんが、私は犬4匹の散歩で早起きもしているのです。そこで色々と考え、私は就寝時間が遅いため、23時以降にオムツ替えをして、体位変換をすることに生活リズムを変えました。5〜6時間くらい放っておくのを許してください。

 

マットも褥瘡予防にしたので悪化や再発も防げています。尿も長時間用のパッドに替えておけば、朝までモレの心配も少なくなります。介護の常識の通りにしていては自分が早死にしてしまいます。介護ルールは自分に合ったものを考えてみてください。

 

介護に発想の転換をしてみる

 

介護をする上で、医療に影響するお世話は良い加減にはできませんが、影響のないものは介護の手本通りでなくても良いと思っています。ただ、その方法を考えるには慣れが必要です。私は、仕事でアイデア発想の研修講師をすることがありますが、漠然と考えるよりもチェックリストを使うと発想がしやすいことをお伝えしています。それが、介護にも当てはまるのではないかと考えていたところ、あるルールに気が付きました。

 

5つの発想の視点を身につけて、幸せな介護生活を手に入れる

 

それは、ポイント3の、方法を工夫するときの5つの発想の視点です。

 

①先取り(未来を考え先に準備する)
②逆転(反対側からヒントを得る)
③変更(あえて違うモノにかえる)
④抽出(複数の中から選び出す)
⑤結合(組み合わせることを考える)

 

介護の方法を、あえて当たり前から脱出してみるのです。同居初期、平日、母は日中ひとりでお留守番の日がありました。昼飯を準備して母の部屋のテーブルに置くのですが、なぜか作っておいたチャーハンには手を付けず、仏壇のお供えを食べ、水を飲んでしまっているのです。

 

最初の頃は、「これはご先祖様のものだから」といちいちイライラして怒っていたのですが、あるとき「だったら、食べさせたいものを仏壇に置いてみよう」という発想に至りました。それが大成功! これこそ先取りの法則です。ご先祖様も仕方ないなと、嬉しく見ているのではないでしょうか。

 

渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表

 

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親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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