在宅介護の良いところは帰る家があること
在宅での生活を続けたいと思ったら
在宅と一言でいっても大きく分けて4つのパターンがあります。選択は家庭状況によって変わりますが、要介護2までを目安に、別居や独居でも在宅で生活が続けられるのではないでしょうか。
●同居 ①親の家に子が入る(Uターン)
②子の家に親が入る(呼び寄せ)
●別居 ①近距離(徒歩、自転車圏内と想定)
②遠距離(交通機関を利用と想定)
要介護の認定を受けたということは、親は他の人の支援や介助が必要である状態と判断されたということです。高齢の親、家族だけで支えていくことは本当に大変です。バランスをとれば良いのです。親や配偶者の介護は他人には任せたくないという気持ちならば、それを実行しつつ、100%自分が対応しなくても良いのではないかということなのです。
通常はさまざまなサービスの組み合わせとなる
要支援1、2であれば地域包括支援センター、要介護1〜5であれば居宅介護支援事業所のケアマネージャーにケアプランの作成を依頼(無料)します。担当ケアマネージャーと家族は、親の身体状態、家族の状況、希望、限度額、その家庭が1か月にかけられる介護予算などを総合的に判断し、様々なサービスの中から必要なものを選択・組み合わせることで最適なプランを双方で話し合いながら決定することになります。
ずっと親が家にいることが在宅介護ではない
高齢者の生活機能が低下する原因は、歩かず足が弱る、義歯を放っておいたら硬い物が食べられなくなる、閉じこもり人と会うのが面倒になる、配偶者との死別、ペットロス、災害、転居、疾病(風邪、入院、手術)、事故(骨折、転倒、打撲)などが考えられます。日本では寝たきりという言葉をよく使いますが、福祉の進んでいる北欧には寝たきりという言葉はありません。日本の寝たきりは、寝かせきりにしているからではないかと思うのです。
家にずっと一緒にいると、寝ていてもらった方が介護者は楽なので、そのようになりがちです。介護サービスを利用して家から出れば親も刺激を得られます。身体機能を維持するためにも、ベッドからたまには出て、他人と少し関わることも大切です。ずっと家で家族だけでお世話を続けることだけが在宅介護ではないのです。訪問介護で、他人と話をするだけでも親も家族も気分転換になります。不安なことは相談もでき、一石二鳥なのです。
在宅介護の一番良いことは帰る家があるということ
介護サービスに出かけると色々な人がいます。ある行事で家族として参加したとき、認知症の母のことを悪く言う人がいました。私に向かって「あの人は、何もわからない。ここでは一番年寄りのようだ」と言うのです。私が娘だとわかると、ばつが悪そうな顔をしています。このとき、いつも嫌な思いをしているのではないかとつらくなりました。
ですが、私も会社勤めを続けるに当たり、相性が良い人ばかりではありません。私だって愚痴も言えば大嫌いな人もいますし、逆に私の悪口も言われているかもしれません。そう、社会参加するということは良いことばかりではないのです。デイサービス、ショートステイは多くの他人と関わるのでイヤな気持ちになることがあるかもしれません。
ですが、いずれも共通点は、帰る家があるということ。家に帰ることで、ホッと一息。そこで気がまぎれれば良いのです。嫌いな人とずっと一緒にいるのはつらい、在宅介護の良いところは帰る家が必ずあることです。