私は親不孝か?…ずっと老親が家にいることが在宅介護ではない

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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在宅介護の良いところは帰る家があること

在宅での生活を続けたいと思ったら

 

在宅と一言でいっても大きく分けて4つのパターンがあります。選択は家庭状況によって変わりますが、要介護2までを目安に、別居や独居でも在宅で生活が続けられるのではないでしょうか。

 

●同居 ①親の家に子が入る(Uターン)
    ②子の家に親が入る(呼び寄せ)
●別居 ①近距離(徒歩、自転車圏内と想定)
    ②遠距離(交通機関を利用と想定)

 

要介護の認定を受けたということは、親は他の人の支援や介助が必要である状態と判断されたということです。高齢の親、家族だけで支えていくことは本当に大変です。バランスをとれば良いのです。親や配偶者の介護は他人には任せたくないという気持ちならば、それを実行しつつ、100%自分が対応しなくても良いのではないかということなのです。

 

さまざまなサービスの中から必要なものを選択・組み合わせることで最適なプランをつくるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
さまざまなサービスの中から必要なものを選択・組み合わせることで最適なプランをつくるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

通常はさまざまなサービスの組み合わせとなる

 

要支援1、2であれば地域包括支援センター、要介護1〜5であれば居宅介護支援事業所のケアマネージャーにケアプランの作成を依頼(無料)します。担当ケアマネージャーと家族は、親の身体状態、家族の状況、希望、限度額、その家庭が1か月にかけられる介護予算などを総合的に判断し、様々なサービスの中から必要なものを選択・組み合わせることで最適なプランを双方で話し合いながら決定することになります。

 

ずっと親が家にいることが在宅介護ではない

 

高齢者の生活機能が低下する原因は、歩かず足が弱る、義歯を放っておいたら硬い物が食べられなくなる、閉じこもり人と会うのが面倒になる、配偶者との死別、ペットロス、災害、転居、疾病(風邪、入院、手術)、事故(骨折、転倒、打撲)などが考えられます。日本では寝たきりという言葉をよく使いますが、福祉の進んでいる北欧には寝たきりという言葉はありません。日本の寝たきりは、寝かせきりにしているからではないかと思うのです。

 

家にずっと一緒にいると、寝ていてもらった方が介護者は楽なので、そのようになりがちです。介護サービスを利用して家から出れば親も刺激を得られます。身体機能を維持するためにも、ベッドからたまには出て、他人と少し関わることも大切です。ずっと家で家族だけでお世話を続けることだけが在宅介護ではないのです。訪問介護で、他人と話をするだけでも親も家族も気分転換になります。不安なことは相談もでき、一石二鳥なのです。

 

在宅介護の一番良いことは帰る家があるということ

 

介護サービスに出かけると色々な人がいます。ある行事で家族として参加したとき、認知症の母のことを悪く言う人がいました。私に向かって「あの人は、何もわからない。ここでは一番年寄りのようだ」と言うのです。私が娘だとわかると、ばつが悪そうな顔をしています。このとき、いつも嫌な思いをしているのではないかとつらくなりました。

 

ですが、私も会社勤めを続けるに当たり、相性が良い人ばかりではありません。私だって愚痴も言えば大嫌いな人もいますし、逆に私の悪口も言われているかもしれません。そう、社会参加するということは良いことばかりではないのです。デイサービス、ショートステイは多くの他人と関わるのでイヤな気持ちになることがあるかもしれません。

 

ですが、いずれも共通点は、帰る家があるということ。家に帰ることで、ホッと一息。そこで気がまぎれれば良いのです。嫌いな人とずっと一緒にいるのはつらい、在宅介護の良いところは帰る家が必ずあることです。

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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