「いい加減にして」怒りは最高潮に…介護で自滅する本当の理由

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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介護と仕事と自分の時間のバランスをとる7割介護

なぜ介護は精神的にイライラしてしまうのか?

 

それは余裕がないからです。次にやることがあるから、「早くしてくれ」と怒りは最大限に。毎日の介護は、気持ち、時間、お金の駆け引きです。介護で自滅する人は全てにおいて完璧で何かを捨てられないのです。どれかひとつを少しだけ見切ってみる……。

 

介護は3割の余裕をつくるとうまくいきます。この駆け引き介護のことを私は7割介護と考えます。介護だけの生活も仕事だけの生活もどこかむなしく感じませんか。介護と仕事と自分の時間のバランスがとれれば最高。そのために7割介護を心がけるのです。

 

介護は3割の余裕をつくるとうまくいくという。(※写真はイメージです/PIXTA)
介護は3割の余裕をつくるとうまくいくという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

介護度が上がるほど増す身体的疲労

 

個人差もありますが、要介護2までは、認知症だけど自立歩行ができる、認知症ではないけれど日常動作が不安定という場合が多々あります。徘徊、昼夜逆転、便失禁、転倒など事件も多く介護者にとって精神的に疲れる時期です。要介護3以上になると他人への依存度が高くなるため、排せつや入浴の介護が必要になります。

 

私は母の介護なのでひとりでも移乗は何とかできていますが、これが父だったら身長が私よりも高いので支えることも難しかったと思います。在宅介護で毎日、支えたり移したりの介助を続けると、どんなにうまくやっていると思っていても腰や膝に負担がかかります。

 

いつの日からか、急に膝に激痛が走り正座もできなくなったので母の整形外科への通院に便乗して自分も膝にヒアルロン酸の注射を打ってもらっています。私はギリギリの線で在宅介護を続けられていますが、精神的、身体的に「もう無理」と感じたら、次の一手に移るときです。頑張ることを続けると自分が要介護状態になるのが早まります。

 

ほんの少しで良い、自由時間を自らつくる

 

介護サービスを利用し、介護を全て自分で担わなくても、それ以外の時間が家事や仕事に追われていては自由時間がなくストレスが溜まります。一例ですが私の実践している息抜き方法をご紹介いたします。

 

① 職場仲間とサイゼリヤほろ酔いツアーで1時間だけリフレッシュ(隙間時間)
② 月に1回の水彩画教室! その時間だけは心が無になりリフレッシュ(強制時間)
③ 年に1回、郷ひろみコンサートで若返りリフレッシュ(ごほうび時間)

 

親が19時20分に自宅に送られてくるので、それまでに帰宅する必要があります。逆算すると18 時30分までは残業ができます。それならば、その時間までは職場近くのサイゼリヤで1時間ちょっと職場の大好きな仲間(大切なのは付き合いではなく息抜きなので嫌いな人は呼ばない)と食事ができるのです。

 

ここで考えたのが、ひとり1000円以内でのオーダー。ワインも安くて十分に楽しめます。空いた時間があれば、ひとりでも楽しめるストレス解消があると更に良いですね。誰かと一緒でないとできないようなことは、都合が合わないと何もできない人になってしまうからです。

 

つらいことも良いこと目線

 

介護が始まると憂鬱になります。これは逆らえない本心で、ほとんどの人がそう思うので心配はいりません。ですが、悪いことばかり考えると更に気が滅入ってしまうもの。悪いことの中にも考え方次第で良いことが見つかることがあります。介護には、この視点が重要だと思うのです。

 

私は遠距離介護をしていたとき、毎週末、静岡に出向くとき新幹線ではなく東海道本線を利用しました。たまに国府津駅と沼津駅間を御殿場線でもっと遠回りもしました。ゆっくり本を読めるし、季節ごとの景色も楽しめて思いのほか良い時間でした。

 

考え方次第で毎週の帰省も楽しいものです。小旅行だと視点を変えれば良いのです。自分の感じ方で介護は良くも悪くもなるのかもしれません。

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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