多くの家庭で、親の「老い」はいずれ直面する問題です。ファイナンシャルプランナー・安田まゆみ氏の『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ新書)より年をとった親がものを捨てられなくなる現象への対処法について解説していきます。

「沈黙は金」は親子間でもあてはまる

そんな心境でいる親に向かって、帰省してきたとたん、子どもが頭ごなしに「なんでこんなにごみでいっぱいなの」「なんで捨てないの」「そんなもの取っておいてもどうせ見ないでしょ」「取っておいてもどうせ使わないんだから」「ほこりがついて不衛生よ」と立て続けに親を叱りだす。

 

もしそうだとしたらどうでしょう? まさに「親の心、子知らず」ですね。片づけは、遠のくばかりです。まずは親のストーリーを聞きましょう。物を保存している理由はそれなりにあるはずです。

 

チラシを見て、子どもが帰ってきたら相談しようと思っていたことがあるのかもしれません。難しいことが書いてあってよくわからないから、子どもに相談してから捨てようと思っていた封筒かもしれません。

 

自分では着られない洋服だけど、子どもだったら着ることができるのではないか。汚れていないし、まだ使えるものだから捨てられない。使ってくれるというのであれば、惜しみなく譲ってあげられる。そんなふうに思って取ってあるのかもしれません。

 

ですから、まず、親の話を聞きましょう。「詰問」ではなく、やさしく理由を聞いてみましょう。

 

動かなくなった時計、使い古した財布。そんなものがよく取ってあったりしますよね。そういう時には、物を評価してあげましょう。

 

「よくがんばったよね、この時計。お父さんが目覚ましに使っていたんだっけ。80過ぎたら、目覚ましはいらないって言ってたけど、ずっと枕元に置いてあったよね。壊れちゃったの? まだ使うなら、電池入れ替えてみようか?」

 

というような感じで話を持っていくと、「私はもう使わないから、あんた使ってくれるなら、あげるよ」と手放してもいいという意向を示してくれます。

 

そうしたら、たとえいらない古い目覚まし時計であっても「ありがとう。じゃあ持って帰って電池入れ替えてみるね」と言って、もらって帰ってください。本当に使わないのであれば、親の見えないところで捨ててください。

 

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そろそろ親とお金の話をしてください

そろそろ親とお金の話をしてください

安田 まゆみ

株式会社 ポプラ社

離れて暮らす親の老いは、子どもにとって心配の種。 そのひとつに「お金」の問題があるが、親子の間でもお金の話はなかなか聞きづらく、つい先送りにしてしまっている人が多い。 だが、もし親が認知症になってしまったら、…

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