多くの家庭で、親の「老い」はいずれ直面する問題です。ファイナンシャルプランナー・安田まゆみ氏の『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ新書)より年をとった親が出す、認知症のサインについて解説していきます。

親の健康状態を把握しておくことの重要性

【親の「健康状態」を把握する】

 

終末期の医療や延命措置についての意向を聞くのも大事ですが、その前にいまの親の健康状態を把握しておくことも重要です。

 

体調はどうか、持病があるのか、病院へは通っているのか、どんな薬を飲んでいるのかなどを知ることはとても大切です。薬を飲んでいないまでも、家にサプリメントがいくつもあったら、健康について気になることがあるのかもしれません。

 

「こんなにたくさん飲んで、どうするの!」と責めるのではなく、「へえぇ、これって膝に効くのか〜。お父さん、膝が痛むの?」というように、健康状態を聞き出すきっかけにしましょう。

 

40代、50代の働き盛りは自分のことで手いっぱいかもしれません。ですが、親の健康状態を見逃すと、のちのちつらい思いをすることになります。

 

Fさん(40代後半・会社員)の話です。

 

ひとり暮らしの母親(78歳)が突然脳梗塞で倒れ、入院。命はとりとめたものの、意識障害があって、判断能力どころか会話もままならなくなってしまいました。

 

Fさん姉妹は会社員で、日中は勤めがあるため、退院後の自宅介護は無理。退院後に行くリハビリができる施設や介護施設を入院中に探さなくてはなりません。

 

入院時の保証金はとりあえず立て替えたものの、親のキャッシュカードの暗証番号も聞いていないので、親の預貯金が引き出せない状態が続きました。今後の医療費や介護費用は、ひき続き子どもたちが立て替えることに……。

 

こんな体験をされたFさんは、2人姉妹の姉のほう。姉妹は2人ともシングルでバリバリ働いていました。立て替え払いもいつかは限界が来ますので、結局、成年後見制度を利用することにしました。

 

後見の申し立てをするにあたり、必要な書類をそろえるのに3週間ほど。さらに、後見人の選任に2か月弱かかりましたが、何とか子どもが後見になることができ、親のお金を動かせるようになったのです。

 

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そろそろ親とお金の話をしてください

そろそろ親とお金の話をしてください

安田 まゆみ

株式会社 ポプラ社

離れて暮らす親の老いは、子どもにとって心配の種。 そのひとつに「お金」の問題があるが、親子の間でもお金の話はなかなか聞きづらく、つい先送りにしてしまっている人が多い。 だが、もし親が認知症になってしまったら、…

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