不動産の名義はいますぐ確認しよう
相続人が多い場合、預貯金(現金)の分割に加えて、家や土地など不動産の相続はどのようにしたらいいのか、家族にとっては心配の種でしょう。2018年7月、約40年ぶりに「相続法」が改正されました(施行は2019年から)。
さらに、2019年2月、法務省は不動産の相続に関して法制度の見直しを打ち出しました。その背景には、所有者がわからない土地や家が全国的に増え、社会問題化していることがあります。
具体的には、登記上の所有者と連絡が取れなかったり、すでに死亡していたりするケースが急増しています。所有者不明の土地は、活用しようにもできません。それを何とか有効活用したい、今後はそういう土地や家を増やしたくない、というのが、法改正の狙いです。
それによって、これまで任意となっていた不動産の相続登記を義務化する方向となりました。相続登記が任意だったことで、具体的に何が起きているかというと、たとえば親の死後、自分が相続して所有するものだと思っていた土地の登記簿を取ってみたら、何代にもわたって相続登記が行われておらず、所有者は名前も知らない先祖だったということもあります。
また、亡くなった親の家の整理をしていたら、祖父の名義で固定資産税の請求が来ていたというケースも。これは、祖父が亡くなった時、父親が相続登記をしていなかったからです。実家が相続登記されていないと、遺された子どもに思わぬ災難がふりかかることがあります。
相談者のEさんの例です。Eさんはひとり息子。ひとり暮らしをしていた父が亡くなり、家と土地を相続することになりました。ところが、名義は何と曾祖父になっていました。祖父も父親も相続登記をしていなかったのです。
さあ、大変です。この土地建物をEさんが相続するためには、さかのぼって曾祖父が亡くなった時の相続のやり直しをしなくてはなりません。そうしないと、Eさんが相続する手続きを進めることができないからです。
そのためEさんは、曾祖父が亡くなった時の相続人を探し出し、「相続放棄をしてください」と頭を下げて印鑑をもらう必要がありました。相続人は曾祖父の子どもたち、祖父とそのきょうだいですが、全員が他界しているので、それぞれの子どもたちに代襲相続されます。
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