「実家の片づけ問題」最初にすることは…
ですから、子どもの側から歩み寄っていかなければ、親の気持ちを把握することはむずかしいのです。世間話をしながら、親がいま何を思っているのかを探りましょう。
親の気持ちを知るということについては、もう1つ大事なことがあります。実家の片づけ問題です。
父親が亡くなって、ひとり暮らしになってしまったYさんの母親のケースです。昨年、久々に実家に帰った時、部屋の中に物がいっぱい溢れていて驚いたというYさん。きれい好きだった母親がまったく片付けができないでいることにショックを受けたそうです。
認知症による乱雑さではないようなのですが、とにかく、いまだに父親のものを片付けられず、物が多い状況なのだとか。
片付けを一緒にやろうと提案したところ、私がやるから触らないで、と言われてしまい、いろいろ説得しても頑として聞いてはくれなかった。夏休みにはまた実家に帰るのだけれど、どうしたものかと悩んでいました。
高齢になればなるほど、物をためこんでしまうものですが(病的なほどのごみ屋敷のケースはまた別)、その物のためこみには、さまざまな感情があります。
高齢になると不要なものかどうか判断するのがしんどくなっているということもあります。そのため、それを視界から外して見ないように、あるいは見ても「ないもの」としている場合もあるのだとか。
また、「物」に対するストーリーがあることも多いようです。そのストーリーは、子ども世代から見たら「屁理屈」かもしれません。「後で、読み返そうと思っていたチラシ」だったり、「中身を見てから捨てようと思った封筒」だったり、「とても値の張るものだから、誰かに着てもらいたい洋服」だったり……。
生活の中で、他人から見たらごみのようなものであったとしても、本人はその存在を必要なものとして、「折り合いをつけて」暮らしているのです。
「まだ、使うかもしれないから捨てられない」という執着もあるでしょうし、「物がないと寂しい」という感情もあります。
子どもたちが独立して、めったに帰ってこなくなって、連れ合いも亡くなって、ひとりで暮らしている孤独。物がその孤独を埋めてくれるような気がするのかもしれません。
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