筆者が必ずやっている「お別れの儀式」
洋服も同じです。母親というものは、娘が50歳を過ぎていたとしても「これ、物はいいんだよ。私は体形が変わっちゃって着られないけど、あんたなら、買い物に行く時にでも着られるんじゃないの」と言ったりすることがあります。
そういう時も感謝して「ええ、いいの? お母さん大事な時に着ていた服でしょう。体に合わなくて着ないのなら、私が着ようかしらね。でも、私もお母さんと同じ体形だからさ、着られないかも。そしたらお友達に聞いてみるよ。とりあえず、もらっておこうかな」という具合に答えていきましょう。
「噓も方便」です。
もらったものは、家に帰ってポンと捨ててもいいのですが、私はきちんとお別れの儀式をしてから捨てています。壊れた目覚まし時計を手に取って「噓をついてごめんね。ここでお別れです。長い間お父さんの枕元でがんばってくれてありがとう。お疲れ様でした」
と言って、分別ごみに出します。着られない洋服(一度は袖を通してみますが)に対しても「お母さんを守ってくれて、ありがとう」と言葉をかけてから捨てます。
これは、私なりのけじめ。古い物であったとしても、親に噓をついて引き取った物ですから、この儀式は私にとっては必要なのです。
でも、こうして1つでも2つでも子どもがもらってくれるというと、不思議なもので、親の方でも捨てものが増えていくんです。「こっちはさすがにあんたもいらないよね」なんて言いながら、捨てる気分になっていくようです。
子どもが、今まで持っていた理由(ストーリー)を聞いてくれたこと、自分が大切にしてきた物の価値を認めてくれたことで、するすると気持ちが解けて、物も手放せるようになるんですね。
物(物の価値)を認める
↓
物にまつわるエピソードを話す、聞く
↓
「あげる」と言われたらもらう。
これを2〜3回繰り返してみましょう。そうすることで、ほかの物も少しずつ手放してくれます。
こういうことをYさんに伝えて実践してもらったところ、見事成功。捨てるべき物はまだまだ残っていますが、不要な物を手放すことにお母さんの気持ちが向いてきた、とのことでした。
安田 まゆみ
元気が出るお金の相談所 所長
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