「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母親が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。日本の高齢化は進み、高齢者と後期高齢者という家族構成が珍しくなくなってきた。老いと死、そして生きることを考えていきます。本連載は松原惇子著は『母の老い方観察記録』(海竜社)を抜粋し、再編集したものです。

実家の居心地はいいと言えなかったが…

慣れるのに時間がかかる

 

母のピンピンぶりは先に書かせていただいた通りだが、お互いが自然に振る舞えるようになるまでには、時間がかかった。それはわたしだけでなく、母にとっても我慢の日々だったはずだ。

 

その間に、母と暮らすことに耐えられずに、2階の部屋はそのままに、近くの団地に一室を借りて、ひとりだけの空間を確保したほどだ。

 

国民年金のわたしが、こんなところで出費している余裕はなかったが、背に腹は代えられなかった。

 

実家の居心地はいいとは言えなかったが、これから新しくマンションを買う気力も失せていた。いずれ、母は亡くなる。とりあえず、母を見送ってから次を考えればいいだろう。

 

それに、日本だってこの先どうなるかわからない。お金が紙くずになり、年金がストップすることも考えられる。戸建に住んでみると、コンクリートのマンション生活が不自然に感じられるのも確かだ。

 

これが自然の流れだ。自然の神様におまかせだわ。

 

 

 

 

松原 惇子
作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク 代表理事

 

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母の老い方観察記録

母の老い方観察記録

松原 惇子

海竜社

『女が家を買うとき』(文藝春秋)で世に出た著者が、「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。 おしゃれ大好き、お出かけ大好…

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