恐ろしい…「60歳を越えてからは引っ越すな」のリアル

「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母親が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。日本の高齢化は進み、高齢者と後期高齢者という家族構成が珍しくなくなってきた。老いと死、そして生きることを考えていきます。本連載は松原惇子著は『母の老い方観察記録』(海竜社)を抜粋し、再編集したものです。

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高齢者にとって環境を変えることは死活問題

大好きだった目黒のマンションを売却する決意をしたときに問題だったのは、次の引っ越し先だった。何でも即決のわたしが、今回は迷いに迷った。

 

おそらく、それは65歳という年齢のせいだろう。自分では若い気でいるが、65歳と言えば立派な高齢者だ。

 

世間では、「60歳を越えてからは引っ越すな」とか「老木は植え替えるな」と言われているが本当だ。高齢者にとり環境を変えることは、死活問題と言える。

 

周りに目を向けてみると、ひとり暮らしの戸建てを手放し、長男家族の家に引っ越した80代の女性。戸建てからマンションに住み替えた60代の夫婦。老人ホームに入居した80代の女性など、多くの人が老木を植え替えている。いえ、家族により植え替えさせられていると言った方が正しいのかもしれない。しかし、わたしの知る限りでは、全員ではないが、転居して間もなく、認知症を発症したり、お亡くなりになっている。

 

世間では「60歳を越えてからは引っ越すな」と言われているという。(※写真はイメージです/PIXTA)
世間では「60歳を越えてからは引っ越すな」と言われているという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

母が喜ぶ?

 

これがわたしの人生最後の引っ越しになるだろう。そう思うと、実家への引っ越しは重い気持ちにさせられた。

 

先にも書いたとおり、不動産屋の友人のアドバイスもあり、とりあえず、賃貸マンションを借り、落ち着いてから購入を検討することにしたところ、年齢の壁に阻まれて拒否され、実家に避難することになった。

 

こういうときに夫がいたら心強いのにと、都合のいいときだけ、結婚しておけばよかったと口走るご都合主義のわたしだ。そのことを既婚の友人に話すと「何言っているのよ。世の中には、やってくれる夫ばかりではないわよ。まったくなんの役にも立たない男も多いのよ」と、わたしの甘さを指摘した。

 

「とりあえず、実家が近いのだから、実家に住まわせてもらったらどう? その方がお母さんも喜ぶはずよ」

「母が喜ぶ?」

 

他の母親はそうかもしれないがそれは違うような気がした。うちはみんな独立して生きているので、うちに限ってそんなことはないはずだ。それどころか妖怪は、突然の娘との同居を迷惑と思うにちがいない。普通が何かは知らないが、普通の母親は、娘が帰ってくると喜ぶのだろうか。わたしには、その感覚がいまひとつわからない。

 

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作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク代表理事

1947年、埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジ大学院にてカウンセリングを専攻し修士課程修了。39歳の時『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。3作目の『クロワッサン症候群』はベストセラーになる。
「ひとりの生き方」をテーマに執筆・講演活動を行っており、1998年に、おひとりさまの「終活」を応援する団体、NPO法人SSS(スリーエス)ネットワークを立ち上げる。
著書に『長生き地獄』『老後ひとりぼっち』(SBクリエイティブ)、『人生後半を楽しむシンプル生活のススメ 人生はこれからが本番よ!』『70歳、だから何なの』(海竜社)、ほか多数。

著者紹介

連載元気で長生きするヒント「うちの母はスーパー老人」

母の老い方観察記録

母の老い方観察記録

松原 惇子

海竜社

『女が家を買うとき』(文藝春秋)で世に出た著者が、「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。 おしゃれ大好き、お出かけ大好…

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