親の実像「非医師の家庭」の子どもが医学部受験へ
1歳から始めた通信教育
非医師家庭から、医学部に進学する子どもは少なくありません。特に国公立医学部は、学費が私立医学部に比べると安いことから、非医師家庭でも進学しやすくなっています。
しかしながら、その国公立医学部ですら、開業医や勤務医など医師家庭の子どもが多いのが現実です。そういう環境にわが子が身を置いた時、周囲から浮いてしまわないか? 学費の他に、テキスト代や医療器具代など、けっこうお金がかかるのではないか? 高額の仕送りはできないために、友人とのつきあいや持ち物で惨めな思いをさせてしまうのではないか? などなど、親の心配は尽きません。
そして何より、小さい頃からどのような子育てをすれば、非医師家庭の子どもが医学および医師への夢を持ち、医学部を目指して勉強をがんばるようになるのか?
これらを踏まえて、非医師家庭から国立大医学部に次男を進学させたケースを見ていきましょう。
Iさんの父親は、地方で整体院を開いています。父親はそれほど勉強ができるタイプではなかったそうで、地元の普通高校を卒業後、専門学校で5年ほど学び、整体師の資格とともに鍼やマッサージも勉強して、開業に至りました。
開業当時は、整体師の養成学校が全国に10校ほどしかなく、整体院じたいが少なく、1日に60人もの来院者を迎えていました。当時の収入はちょっとした開業医並みにあり、家と車をキャッシュで購入し、さらに3人の子どもたちの学費のために貯蓄もしていたそうです。
その後、整体師の資格取得について規制緩和があり、町のあちこちに整体院ができ、来院者は激減。収入も最盛期の6分の1までに減りましたが、貯蓄から子どもたちの学費やIさんの医学部進学のための費用を出すことができました。
母親は東京の私立大を卒業後、大手証券会社に勤めました。そして、友人の紹介で2人は出会い、結婚。母方の家系には学力の高い人が多く、祖父は電卓がいらないほど計算に強く、祖母は銀行員で勉強熱心だったそうです。そういう両親に育てられた母親ですから、子どもの勉強には意欲的でした。
仕事で忙しい父親をよそに、赤ちゃんの頃から福音館書店の絵本を読み聞かせていたそうです。子どもたちは成長にともない、友人たちと共通の話題であるポケモンやコミック誌などに興味が移っていったようですが、本好きな子どもになったのはまちがいないようです。
その母親の意向で、Iさんは1歳の頃から公文式の通信教育を受けています。0歳から2歳の子どもを対象にした、文字を覚える遊びのような内容です。その後、乳児用のプログラムを終えて、小学校入学前には、算数と国語の2科目を受け、小学校6年生まで続けました。小学校入学前に通信教育を始めるという家庭はあまり多くはなく、学習に対する意欲が感じられます。
Iさんは、1歳上の兄、2歳下の妹がいる3人兄弟の真ん中。そして、兄のあとを追うように勉強も一生懸命にしたそうです。公文式は、学習内容が学年を飛び越えていくために、小学校の学習内容が簡単に感じられ、また苦しい課題も勉強グセの形成に役立ったと言います。また、並行してベネッセの通信教育も受けましたが、公文式で学習内容が先行していたため楽々とこなしていました。