求められる、その人なりの具体的な志望理由
出願対策 志望理由書
医学部入試では、出願時に志望書の提出を求められる場合があります。
毎年、講義で受験生の志望書を精査しますが、国立大学では弘前大学医学部、私立の医学部では、国際医療福祉大学医学部、昭和大学医学部、東京女子医科大学医学部、北里大学医学部、順天堂大学医学部、日本医科大学医学部、福岡大学医学部、聖マリアンナ医科大学医学部、岩手医科大学医学部、金沢医科大学医学部などの志望書を読む機会が多いです。
医学部2次試験の面接は、提出された志望書をもとに、質問される場合もありますから、合否に全く影響がないわけではなく、しっかりと対策を立てたいものです。
ひと口に志望書と言いましても、受験経験がない人は、大学のホームページを見て、そこに掲げられた教育理念や学是、校是をだらだらと書いてしまいがちですが、これではあまり評価されません。
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大学側が志望書で求めているものは、その人なりの具体的な志望理由です。大学のホームページを参考にするなら、授業の内容や大学の取り組みを紹介したページなど、もっと細かい情報を読み込むことをおすすめします。
すると、自分が興味を持てる授業や大学特有の取り組みがいくつか出てくるはずです。それらへの共感から志望書をまとめると、その人らしさが表われた具体的で主張のある文章になるでしょう。さらに言うならば、将来自分が取り組みたい診療科との関係で、受験する大学を絞り込めれば、目的意識が明確になるでしょう。
次の志望理由書は看護学部に在籍しながら医学部を目指していた教え子の志望理由書です。まとめるにあたり、いくつかアドバイスをしました。対象の大学は東京女子医科大学医学部です。
「看護学部に通い病院実習をしていた際、偶然、発作を起こした患者さんに遭遇しました。しかし、患者さんを前に、私は手をこまねくしかありませんでした。その時に感じたことは、もし私が看護師であったとしても、治療をすることはできないということでした。医師法による制約ですが、無力感にさいなまれました。幅広く医業に携われるようになりたい。その気持ちが医学部志望の原動力となりました。なかでも、貴校を志望する理由は、貴校が医学を修めるうえで、『自主自律』を基本姿勢とし、少人数グループでひとりひとりが問題を発見し解決していく教育を実践されているからです。このカリキュラムに則り、私は『至誠と愛』を実践する医師を目指したいと考えております」
建学の精神や校是を志望理由に盛り込む場合も、このような使い方であれば好印象となりますし、そこに至る過程もこれくらいの具体性があれば、合格点がもらえるでしょう。医師法17条の制約に関しても触れて居り、厚みが出ています。ぜひ、参考にしてみてください。
なお、医学部の面接では、女子受験生に、「医療に携わりたいのならば、何故看護師ではだめなのか」という質問が良くなされています。
出願対策 自己評価書
医学部によっては、志望書に加えて自己評価書の提出を求めるところもあります。自己評価書には「特に医学を志す者として、自分自身の能力、適性、心身の健康などについてどのように評価しているかを記載してください」などと書かれています。
しかし、多くの学生の文章は、この設問が問うていることに答えていないものが多いです。どうも最近の受験生の傾向として、聞かれていることにストレートに答えることができない人が増えている気がします。文章のうまい・へた以前に、聞かれていること、問われていることに素直に答えることが大切です。