何色に見えますか?色覚異常でなくても「違う色」になる理由

モノの「色」を認識できる仕組み、知っていますか? 「色」とは、光の波長であり、私たち人間に共通する脳のその波長の感じ方を「色」と表現しているにすぎません。また色の見え方は光の波長やその量、組み合わせによって微妙に変化しています。しかし、私たちは明るい場所でも暗い場所でも「同じ色」として認識できたり、色覚異常がない人どうしで別々の色に見えたりすることもあります。一体なぜなのでしょうか。

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「りんごが赤い」のではなく「りんごの反射光が赤い」

人の脳は色をどのように認識しているのでしょう。

 

りんごを例に説明しましょう。りんごが赤色に見えるのは、光源(太陽)から届いた光がりんごに当たり、反射された光の波長を目が受け、その波長の信号が脳へ伝わり「赤色」だと認識します。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

色=物質ではありません。物体の色は、モノに光が当たった時の反射光です。そのため光がない真っ暗な場所では、色を判別することはできません(図表1参照)。

 

[図表1]人が色を認識する仕組み

明暗が違う場所でも「同じ色」に見えるよう、脳が補正

また明るさによって見え方が大きく変わります。たとえば赤いりんごも、薄暗い場所で見れば、実際には茶色く見えるはずです。

 

しかし、私たち人間は、目から送られる本当の色の信号を脳で補正して、薄暗い場所でも、白は白、赤は赤と判別します。これが人間の脳の優れた機能であり「色の恒常性(こうじょうせい)」といいます。

 

黄色いバナナや赤いりんごを一度認識してしまえば暗い場所でもバナナは黄色く、りんごは赤いと認識するのです。つまり、色は脳がつくっているのです。

 

生まれつき色覚異常がない人でも、加齢によって色覚が低下していきますが、ほとんどの人は気づいていません。加齢による色覚異常を気づきにくくさせているのが、この色の恒常性です。実際には、加齢により茶色っぽく見えているはずのりんごを、脳が補正して赤く感じさせているという機能が働いているからです(図表2参照)。

 

[図表2]色の恒常性

 

[図表3]ドレスは青? それとも白?

 

これまで紹介したいくつものシミュレーション画像(【⇒シミュレーション画像を見る】)も、あくまで正常者にはこう見えるというだけであり、実際に色覚異常者がシミュレーションのように見えているのかはわかっていません。彼らなりに若い頃に見た色を覚えて、疑似カラーとして脳で色の感覚を形成しているかもしれないからです。

色相、再度、明度…「一般的な色」を規定する3条件

こうして私たちは光を色として感じていますが、私たちが一般的に感じている色は、色相、彩度、明度の3つの条件で規定されます。

 

ひとつ目は、赤や青、黄色という色そのものであり、「色相」といいます。色相を簡単に説明すると、赤とか緑とか青といった色そのものです。この色相を円上に配置したものを色相環(しきそうかん)といいます。

 

ふたつ目は、色の鮮やかさである「彩度」です。例えば、絵の具に白を混ぜた度合いと考えればわかりやすいでしょう。一般的にパステルカラーは彩度が低く、ビビッドカラーは彩度が高い色と言えます。

 

そして最後は同じ色でも明るい色と暗い色があるように、色の明るさ、すなわち「明度」です。

 

この色相、彩度、明度の基準をわかりやすくまとめたものがマンセルの色見本(図表4、5)で、日本でもJIS規格として採用されています。印刷やデザイン、染色などの現場ではこの色見本と制作するモノの色を見比べて色を合わせます。

 

[図表4]マンセルの色見本①色相環

 

[図表5]マンセルの色見本②色票

 

色は色相、彩度、明度の3つの要素で構成されており、一口に「緑」といっても、色相、彩度や明度が明確にわかりませんから、その言葉から想像する色は、人によって大きく異なります。

 

こうした色相、彩度、明度をあらわしたものが「色立体」と呼ばれるものです(図表6)。

 

[図表6]色立体

 

少し話が高度になりますが、視覚の学術分野では、色度図(図表7)というものを用いて、色を数値で測る方法をとっています。

 

[図表7]色度図

 

色度図を使用する理由は、先に述べた色見本は、色あせや、印刷具合などで微妙に変化する可能性があるからです。医学的な見地に立てば、より正確さを追求するため、色を座標で数値化して、色を取り扱う人が異なる場合でも、誰がどのような時に見ても同じような色を再現できるようにするためです。

 

 

市川 一夫

日本眼科学会認定専門医・認定指導医、医学博士

 

 

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株式会社中京メディカル 代表取締役 日本眼科学会認定専門医・認定指導医
医学博士

1978年愛知医科大学医学部医学科卒業。83年、名古屋大学大学院医学研究科博士課程外科系眼科学修了。社会保険中京病院眼科医長、主任部長を経て現在眼科顧問。眼科医療の世界では一人の医師が行う白内障治療手術の平均が年間200~300眼程度とされる中で、今でも年間3,000眼以上を執刀し生涯執刀数は80,000眼を超える。

94年、中京病院を中核とするクリニックグループを支援する株式会社中京メディカルを設立し眼科専門医の指導育成にも尽力する。ライフワークともいえる色覚研究歴は42年。83年より白内障治療における色覚の補正に着目し、世界初の着色眼内レンズを開発して商品化する。

92年、米国ASCRS(American Society of Cataract and Refractive Surgery)のフィルムフェスティバルにて“Natural View IOL(NV-IOL)and chromatopsia”(着色眼内レンズ)の題名で1st prizeを獲得。92年から日本臨床眼科学会にて色覚インストラクションコースを担当。2020年から公益社団法人日本白内障屈折矯正手術学会の理事長に就任。現在色視力の測定装置を開発し、色視力の普及にも尽力している。

公益社団法人日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)理事長/ヨーロッパ眼科学会(ESCRS)会員/アメリカ白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)会員/アメリカアカデミー眼科学会(AAO)会員/日本産業・労働・交通眼科学会理事/日本眼科学会専門医制度認定指導医/日本臨床眼科学会専門別研究会「色覚異常」世話人/中京グループ会長/医療法人いさな会中京眼科視覚研究所所長/JCHO中京病院眼科顧問

著者紹介

連載知られざる色覚異常の真実

※本連載は市川一夫氏の著書『知られざる色覚異常の真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

知られざる色覚異常の真実 改訂版

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市川 一夫

幻冬舎メディアコンサルティング

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