デフォルト急増で相次いだ政策対応
こうした事態を受け、20年11月〜21年初、政策対応が相次いだ。いくつか例を挙げると以下の通り。
①国務院(内閣に相当)金融安定発展委員会はデフォルト増加を周期・体制・行為面の3つの要因が重なった結果と分析し、市場と法の原則に従い処理し、とりわけ逃廃債を厳禁するとした。
②国企、国有資産監督管理委員会(国資委)を所管する国有資産監督管理委員会は中央国企幹部との会議を開き、逃廃債厳禁、リスク管理の徹底を指示。
③翌年の経済運営を決める中央経済工作(活動)会議が資本市場の健全な発展を促進し、逃廃債を厳格に取り締まる旨表明。
④企業債を所管する発展改革委員会(発改委)が各地出先に対し、償還が近い企業債のリスクの徹底調査、要警戒リストの作成、すでにデフォルトした債券の処理促進を指示する通知を発出。
⑤人民銀行(PBC)、発改委、証券監督管理委員会(証監会)が共同で「信用債情報開示管理弁法」を発出(21年5月施行)。信用債の種類毎に異なる情報開示要件(企業のリスクや収益に影響を及ぼす重大事項の認定基準など)を統一し、デフォルトした際の救済・処理に関する情報開示を整備。
⑥年初、PBC年度工作会議が10大重要任務の1つとして金融改革を掲げ、多角的デフォルト処理体制の整備、逃廃債など違反行為の取り締まり強化、債券市場の規則統一などの債券市場改革を重点項目として位置付け。証監会もその年度系統工作会議で、金融リスク、債券デフォルトリスク低減、逃廃債取り締まり強化などを、6代重要任務の1つとして位置付け。
⑦1月、銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が発改委、PBC,証監会と共同で「金融機構債権人委員会工作規程通知」発出。債券人委員会の職責明確化、デフォルト処理過程などでの役割強化、それを通じて逃廃債取り締まり強化。
⑧2020年、PBC、発改委、証監会が共同で、デフォルト処理に関わる基本原則、各部門の責任、受託管理制度など投資者保護の制度整備、監督機関間の協調、債券市場の法制面での統一に向けて「信用債デフォルト処理に関する諸事項についての通知」を発出した延長線で、2021年2月末、証監会が「公司債券発行交易管理弁法」を改正、発行体や支配株主、受託管理者、証券会社などの責任を明確化、逃廃債など違法行為に対する監督強化。
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