不動産企業のデフォルト増加、4つの背景
ここでは、2021年5月10日掲載の記事『中国債券デフォルトの急増で、不動産業界が陥る「混迷」』で焦点を当てた、不動産のその後を検証する。業界や債券市場を巡る環境が厳しいなか、デフォルトリスクは引き続き高い。
2021年上期、信用債全体のデフォルトは32社、85本、984億元で2020年同期を上回る。産業別では運輸、通信、電子など15業種に及び、分散化の傾向がみられる一方、不動産関連は192億元と最もデフォルト額が大きく「重災区」と呼ばれている。これまで中小私企業中心だったが、トップ50に入る秦禾など、次第に大手に波及し、7月以降も、四川大手の藍光発展などでデフォルトが発生している(8月19日付国家金融発展実験室研究評論他)。
不動産企業のデフォルト増加の背景として、以下が指摘できる。
①マクロ景気減速や業界を囲む政策の影響から、収益力が大幅に低下。
②銀行融資を含め、リファイナンスが難しくなっている。
③関連企業による資金占用、多額の担保や売掛金など企業のガバナンス欠如。
④不動産以外への経営多角化に伴う過剰投資。
以下、①、②を中心に具体的状況を見る。
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