起きてはいけない「医療事故」はなぜ多発するのか?…原子力や航空のシステムと比較

医療に起因する死亡事故は実に多く発生しています。医療にトラブルが多い理由は、安全に仕事をするために必要な要件が満たされていないからだという。ここでは高度な安全を求められる航空や原子力と比較し、医療システムが抱える本質的な不完全さを探ります。※本記事は、河野龍太郎氏の著書「医療現場のヒューマンエラー対策ブック」(日本能率協会マネジメントセンター)より抜粋・再編集したものです。

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現在の医療は、チームでの対処「必須」の複雑なもの

医療システムは、高度な安全を求められる航空や原子力と比較すると、制御することが本質的に非常に難しいという特徴を持っています。

 

また、チームで対処せざるを得ないというシステム上の構造を持っています。

 

そこで、医療チームとして、どのようにヒューマンエラーに対応していくかについて解説します。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

現在の医療は、個人ですべてをやることはできない複雑なものとなっています。これは医療に限りません。現代のあらゆる仕事は、1人ですべてを完結するのが難しい状況になっています。医療もチームで行うことを理解し、チームでの対策を講ずることが重要です。

 

仕事のやり方についてはそれぞれに特徴があります。まず、職場の医療にはどのような特徴があるのかを理解しておくことが有効なエラー対策には必須です。

 

そこで、医療システム※1の特徴を説明します。この特徴を理解すれば、チームでやることの重要性やどこに気を付けなければならないかが理解できるでしょう。

 

※1 システムと聞くと難しいことのように思うかもしれないが、医療では、病院の日常の業務のことである。病院の建物、働く人、薬剤、患者、仕事の流れなど病院全体をさしていると考えればよい。

 

医療の現実を見ると、実に多くの医療に起因する死亡事故が発生しています。また、亡くならないまでも、寝たきりや重度の障害を引き起こしたりすることもあります。なぜこれほど問題が多いのでしょうか。

 

それは、医療においては、安全に仕事をするために必要な要件が満たされていないからです。この問題点を理解するために、高度な安全を求められる航空や原子力と比較してみましょう。

 

発電所の運転員は発電システムを、パイロットは航空機を制御(動かすこと)しています。医療ではこれと同様に、主に医師が患者の血圧や体温などの体のパラメータを制御(薬や手術により上げたり下げたり)していると考えてみましょう。

株式会社安全推進研究所 代表取締役所長
学校法人東京女子医科大学 理事長特別補佐(医療安全・危機管理担当)
日本人間工学認定人間工学専門家 博士(心理学)
自治医科大学 名誉教授

防衛大学校(航空要員、電気工学)を卒業し、航空局東京航空交通管制部で12年間、航空管制官として勤務。

航空機を衝突コースに誘導するというエラーを経験し、エラー防止を目的に心理学を専攻。

その後、東京電力(株)技術開発本部で原子力発電プラントのヒューマンファクターを研究。ある医療事故の関係者と出会い、医療が安全に関して極めて問題の多いことを認識。

医療安全の問題に本格的に取り組むため、2007年に自治医科大学医学部メディカルシミュレーションセンターに勤務(センター長、医療安全学教授)。

一貫して航空、原子力、医療、交通、製造システムなどのリスク管理および事故におけるヒューマンファクターの問題を研究し続けている。

著者紹介

連載人間の行動メカニズムから理解!医療現場のヒューマンエラー対策

※本記事は、河村龍太郎氏の著書「医療現場のヒューマンエラー対策ブック」(日本能率協会マネジメントセンター)より抜粋・再編集したものです。

医療現場のヒューマンエラー対策ブック

医療現場のヒューマンエラー対策ブック

河野 龍太郎

日本能率協会マネジメントセンター

医療現場のヒューマンエラーはゼロにはできないまでも、管理して減らすことができます。人間の行動モデルをもとに、 B=f(P、E) という式を知り、それによって人間の行動メカニズムを理解することがその第一歩です。 …

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