海軍、航空業界「失敗ゼロ」が求められる組織に学ぶリスク管理

正しい情報が経営層まで共有され、情報に基づく判断のできる組織は「安全文化」がつくられていると言えます。情報に基づく文化を構成する4つの文化である、①報告し続ける文化、②正義の文化、③柔軟な文化、④学習し続ける文化について詳細に見ていきましょう。※本記事は、河野龍太郎氏の著書「医療現場のヒューマンエラー対策ブック」(日本能率協会マネジメントセンター)より抜粋・再編集したものです

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現場からトップへ、事象やミスを「報告し続ける文化」

トップが現場のすべての状態を常に正しく把握することは不可能です。現場の問題をもっとも直接見つけ出せるのは、現場の人以外にありません。この現場とは、病棟や診察室という具体的な現場はもちろん、会議や部署との関係などの全体を指します。

 

そこで現場の問題を報告してもらう仕組み、すなわち安全情報報告システムは、潜在的な危険と直接触れ合う作業員の積極的な参加に頼らざるを得ません。

 

しかし、事象やニアミスの報告を提出するように人々を説得することは、やさしくありません。とくに、自分自身のエラーを報告させる場合であればなおさらです。難しいことです。

 

これを達成するためには、「報告し続ける文化(reporting culture)」をつくりあげる仕組みが必要です。後で説明しますが、インシデント報告制度はその1つです。

 

ただし、この報告制度に対して、報告体制への参加を妨げるいくつかの要因があります。たとえば「よけいな仕事だ、本当に大丈夫?」という懐疑、「すでに起きた事故のことを忘れようとする自然な願望」「信頼できないし、報告すると報復される」などがそれに当たります。

情報提供を奨励し、信頼関係に基づいた「正義の文化」

報告し続ける文化を構築するには「非難しない文化(no-blame)」、つまり正直者が得をすることが大切です。したがって、必要なのは「正義の文化(just culture)」であり、それは安全に関連した本質的に不可欠な安全関連情報を提供することを奨励し、ときには報酬をも与えられるような信頼関係に基づいた雰囲気です。

 

ただし、これはとても難しいのです。許容できる・許容できない行動の境界がどこにあるかについても、各人は明確に理解しておかねばなりません。報告の文化がうまくいくかどうかは、組織が非難や処罰をどのように扱うかにかかっています。

 

 

言語道断な行為(薬物乱用、とんでもない不服従、サボタージュなど)には厳しい制裁が必要です。すべての不安全行動を盲目的に許すことは、作業員には信頼感を欠くものと映り、正義に反しているように見えます。安全関連情報を提供することを奨励し、ときには報酬をも与えられるような信頼関係に基づいた雰囲気が重要です。

 

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株式会社安全推進研究所 代表取締役所長
学校法人東京女子医科大学 理事長特別補佐(医療安全・危機管理担当)
日本人間工学認定人間工学専門家 博士(心理学)
自治医科大学 名誉教授

防衛大学校(航空要員、電気工学)を卒業し、航空局東京航空交通管制部で12年間、航空管制官として勤務。

航空機を衝突コースに誘導するというエラーを経験し、エラー防止を目的に心理学を専攻。

その後、東京電力(株)技術開発本部で原子力発電プラントのヒューマンファクターを研究。ある医療事故の関係者と出会い、医療が安全に関して極めて問題の多いことを認識。

医療安全の問題に本格的に取り組むため、2007年に自治医科大学医学部メディカルシミュレーションセンターに勤務(センター長、医療安全学教授)。

一貫して航空、原子力、医療、交通、製造システムなどのリスク管理および事故におけるヒューマンファクターの問題を研究し続けている。

著者紹介

連載人間の行動メカニズムから理解!医療現場のヒューマンエラー対策

医療現場のヒューマンエラー対策ブック

医療現場のヒューマンエラー対策ブック

河野 龍太郎

日本能率協会マネジメントセンター

医療現場のヒューマンエラーはゼロにはできないまでも、管理して減らすことができます。人間の行動モデルをもとに、 B=f(P、E) という式を知り、それによって人間の行動メカニズムを理解することがその第一歩です。 …

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