「ヒューマンエラー対策シート」から対策を見つける
図表1は一件一様の「ヒューマンエラー対策シート」を示しています。
まず、シートの見方について説明します。
①タイトル
シートのタイトルを示します。発想手順としてヒントとなる言葉で表現されています。
②11段階の発想手順
本文で説明した11段階の発想手順のどこに該当するかを示しています。事例によっては複数の対策の考え方がありますが、ここではあえて1つを代表として分類してあります。時間軸で、大きく「発生防止」と「拡大防止」に分けてあります。
さらに、4STEP/MのI〜IV段階に分けてあり、それをさらに具体化して発想の手がかりになるように11段階があります。一番右側は、エラー対策をどこに働きかけるかを示しています。
③事例もしくは問題、あるいは課題
事例がある場合は、事例が紹介してあります。一般的な課題や問題点の場合は、その概要が書いてあります。引用されている具体的な事例は、日本医療機能評価機構から定期的に公開されている「医療安全情報」の事例から説明しやすいものが書いてあります。
④問題点と対策の考え方
事例や課題に含まれている問題点を説明し、対策の基本的な考え方を説明しています。具体的な事例には複数の対策が考えられますが、ここではあえて一件一様になるように編集しています。紹介した対策以外にもたくさんの有効な対策が考えられます。
具体的な対策や説明用の写真、イラストが書いてあります。時間がないときには、タイトルとこの部分に眼を通すだけでもよいヒントが得られます。
⑤対策の効果
対策を実施した場合、期待される効果が説明してあります。
⑥残留リスク
対策が実施されたとき、別のエラーを引き起こす可能性や、実施に伴う困難な点が書いてあります。ヒューマンエラー対策では、完全なものは非常に少ないです。
続いて、事例に基づくエラー対策についてヒューマンエラー対策シートを参考にする場合における注意点を説明します。実際は、図表2に示すように、1つの事例には複数の問題があり、その背後要因を探索していくと木の根のように広がって行きます。
したがって、事例をベースにすると対策は複数出てきます。本来、対策は複数の対策を、短期的、長期的に実施することが重要です。