「子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちが…
中には、保険金が払われたのに、なかなか修理が始まらないということもあるのです。とくにひとり暮らしの方が狙われやすいのは、相談する相手がいないのを彼らは知っているからです。
親としては子どもに頼らず、なんとかこの家をひとりで守りたいという気持ちがあるので、「万が一に備え、防災のために」と言われれば、必要以上にお金をかけてしまったり、場合によってはしなくてもいい工事をしてお金を失ってしまうというわけです。子どもがいても、子どもに迷惑はかけられないと思っている親心につけこんだ商法だと、私はつい憤ってしまうのですが…。
親がお金を減らしてしまう原因は、詐欺や悪徳商法だけではありません。親自身がよかれと思ってすることで、積極的にお金を減らしているケースもあります。たとえば、健康関連の器具や食品の購入です。
人々の健康意識が高まるなか、健康関連産業は真っ盛り。とくに「歩けなくなる」や「寝たきり」を恐れる高齢者は最大のマーケットで、やれ青汁だ、グルコサミンだ、サメの軟骨だと新しい商品が次々に登場します。もちろん商売そのものはまっとうで、健康の増進には役に立つものが多いのでしょう。
しかし、本当にそれが必要なのかどうか? そういう商品の価格は決して安くはありません。費用対効果がどれだけあるのかは、正直わかりかねます。
高齢者は、たとえ認知能力がしっかりしていても、いえ、逆にしっかりしていて健康意識が高いだけに、それらに必要以上の投資をしているのかもしれません。
実際、私も「一生涯歩ける体づくり」などといううたい文句の健康器具や健康食品には、心が揺れます。なので、購入したい気持ちはわかるのですが、安くなるからと定期購入を勧められて、結局は大量の飲み残しが出てしまうのを見聞きすると「(お金とサプリメントが)もったいないなあ」と感じてしまうのです。
安田 まゆみ
元気が出るお金の相談所 所長