最初の妻とは、息子たちが中高生のときに死別。2年後に再婚して娘に恵まれ、平穏な生活を送ってきましたが、年齢を重ねた後妻に深刻な病気が発覚。同じタイミングで離婚した娘は実家に戻り、看病、子育て、仕事と奔走しますが、父親は後妻の葬儀の席で、息子2人が母親違いの妹を悪くいっているのを聞いてしまい…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

遺言書がなければ、何ひとつ思い通りにならないかも…

それでは、根本さんの前述の事情を踏まえて「遺言書がなかった場合」を考えてみましょう。

 

根本さんは後妻の娘である真由美さんに、祭祀継承を任せて自宅と預貯金を相続させ、先妻の息子2人にはアパートのみを遺そうと考えていました。ところが、根本さんの遺言書がなければ長男・次男・長女にそれぞれ等分の相続権が発生してしまい、長女である真由美さんに多くの財産を遺すことはできません。

 

 

さらに、相続させたい財産が特定されていないので、真由美さんに祭祀継承を任せることができず、自宅や預貯金を確実に遺せない可能性もあります。

 

その結果、遺留分割協議が必要となり、残された子どもたちで相続財産をめぐる話し合いを持つ必要がありますが、後妻の葬儀での長男・次男の会話からも見て取れるように、感情的な対立が起こる可能性も考えられます。つまり、根本さんが危惧していたことが、現実になるかもしれないということです。

遺言書があれば「感情的な対立」も予防できる

ですが、あらかじめ遺言書を用意しておけば、根本さんが恐れている相続財産をめぐるトラブルは、確実に回避できます。

 

まず、相続させる財産を遺言書内で明確化することで、後妻の娘である真由美さんに祭祀継承を任せ、確実に自宅と預貯金を相続させられます。

 

そして、先妻の息子2人には遺留分に配慮した財産をしておくことで、彼らからの遺留分減殺請求を阻止できます。今回、根本さんはアパート1棟を先妻の息子たちに遺すため、遺留分減殺請求は発生しません。

 

相続人同士での遺産分割協議では、ときに感情的な対立が起こることもありますが、遺言書を準備することで、そのような懸念も払拭できるでしょう。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
(画像はイメージです/PIXTA)

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営80代するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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