医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が、自らの経験談をもとに、医学部受験のゆがんだ実態や教師が頼りにならなくなってしまった原因について解説していきます。

お金のない家庭の子供には道がないのか?

では、お金のない家庭の子供には医者になる道は全く閉ざされているのでしょうか。そうではありません。わずかながら、道はあります。

 

というのも、地方に行けば行くほど、医者の数は足りないので、「将来的に自分たちの地域で働いてくれるのであれば、学費を貸与します」といった制度を作っているからです。地元の学生に限定して推薦入試を受け付けている地方の国立大学もあります。こちらは金銭面の優遇ではありませんが、一定の配慮もあり、入りやすいようです。

 

あるいは、自治医科大学、産業医科大学、防衛医科大学校を選択するという方法もあります。自治医大や産業医大の場合は、在学中の学費の貸与制度があります。また卒業後9年間、指定された山間部や離島などの病院に勤務すると、学費の返済が免除されます。

 

また防衛医大の場合は、自衛隊関連の病院、あるいは各部隊の医務室の医者になることを前提としていますが、在学中から公務員扱いなので、安いですが、給与をもらえます。ただ、全員寮生活など厳しい面もあります。9年間の勤務義務があり、それをクリアすると学費は免除されます。ただ、これらの大学も偏差値は70以上で、狭き門であることに変わりはありません。

 

さらに、東京都地域医療医師奨学金(特別貸与奨学金)制度というものもあります。これは将来、東京都の地域医療に従事する強い意志を持つ医学部生に、東京都が奨学金を貸与するという制度です。

 

たとえば2011年度に都が指定して現在も続いている大学と募集人員は、順天堂大学(10人)、杏林大学(10人)、東京慈恵会医科大学(5人)です。

 

その奨学金貸与金額ですが、東京都の場合、当該大学の修学金額、及び生活費用として月10万円、6年間でトータル720万円を貸与します。大学において授業料改定があった場合は、その額も改定されます。

 

また、奨学金は、利子を付けて返済することが基本ですが、東京都が指定する医療機関に9年間従事するといった条件をクリアすれば、返済が免除されるケースもあります。詳細は東京都のホームページで確認することができます。そのほかの都道府県に関しても、似たような施策を行っているので調べてみるとよいでしょう。

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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