拝金主義と嘘で成り立つ医学部予備校
予備校講師は大学院出の吹き溜まり
私は日大と農工大の大学院に通いました。予備校講師の人たちともたくさん知り合いました。そうした経験から言って、つくづく思うことがあります。
それは、予備校の講師という職が大学院出の吹き溜まりになっているということです。
大学院の修士課程修了者は、毎年、国立では一校当たり平均10人程度ですが、私立の場合は40から50人程度います。研究者あるいは教師として大学に残るのはそのうちの1割程度です。国立や民間、企業など外部の研究所に行く人数がだいたい全体の2割です。ということは、残りの7割は行く場所がないのです。行く場所がないから博士課程に進むという人も少なくありません。
私も大学の教師であった当時、よく同僚と話していたのですが、「頭がいい人間が大学院に行くというわけでもない」という事実があります。おそらく、トップクラスで頭のいい人間は、いい就職先があれば迷わず就職してしまうでしょう。
大学院に行く層というのは、どちらかというと、そうしたトップクラスから半歩か一歩下がった人たちが多かったように思います。もちろん、そうであっても優秀なことには変わりありませんが、じっくりタイプが多く、なおかつ博士課程も含めて、行くところがないとか、就職したくないという人間が大学院に行く可能性が高いものなのです。
そこで、大学の先生とは一般的にどういう人たちかというと、地味でコツコツ積み上げるタイプの人が多いです。才気煥発というよりは、協調性を重視する人たちです。そのうえで、教授に好かれるというのが第一の条件です。優秀で教授に好かれない者よりは、たいしたことがなくても教授に好かれているほうが大学に残れます。
最近の大学院は多かれ少なかれ無試験のような状態で、修士ならば場合によっては入試問題まで教えてくれるし、博士課程なら成績がまあまあで教授から好感を持たれていれば入れるので、「あの子を取ってよ」と先生同士の一言でOKが出るのです。本当に情けない状態です。
頭が良すぎてもダメ、協調性がなくてもダメ、派手好きでもダメ。そういう人間は弾かれてしまう。そういう人たちの多くは就職先がないわけです。今ではドクター浪人もたくさんいます。せっかく博士課程まで出たのに、「国家的な損失だ」などとテレビで騒いでいるのを見るのは、少々滑稽です。
そこで、弾かれた卒業生たちはとりあえずお金が必要ですから、就職先として手っ取り早いのが予備校の講師ということになるわけです。ですから、予備校の講師は学歴だけは高い院卒ばかりです。では教える能力があるかというと、当然そうではありません。大学院を出たばかりの人間が、教えることに長けているわけはありません。それは誰が考えても分かる話です。
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