高い査定額の裏にある売主泣かせのカラクリ
査定額を低めに設定して早く交渉をまとめようとする仲介業者がいる一方で、あえて高めの査定額を提示してくるパターンもあります。ここからお話しすることが、その「業者のカラクリ」です。
比較サイトで複数の価格査定を比べた場合などで、他よりも目立って高い査定額が提示されることがあります。売主は少しでも高く売りたいわけですから、その業者に依頼をしたくなるでしょう。しかし、それこそが相手のねらいです。
魅力的な査定額は、物件を自分のところに引きつけておくための手段です。甘い蜜を用意して、そこに何も知らない売主が寄ってくるのを待っているのです。
ところが、高い価格のままでは、買手は当然つきにくくなります。売れないまま時間だけが過ぎていきます。売主がしびれを切らしたり、「本当に売れるのだろうか」と不安になったりしたところで、業者からディスカウントの提案がされます。
「このまま高値で待っていても売れません。どうでしょう、価格を下げてみませんか。価格を下げれば、買手も見つかりやすくなりますよ」と言ってくるのです。売主も売れなければ仕方がありませんから、ディスカウントに応じるしかありません。結局、当初の高値では売れず、じわじわと値下げをしていって相場そこそこに落ち着くわけです。
もちろんこれは望ましいことでありませんが、ビジネスとして許されているやり方で、決して業者が法を犯しているわけではありません。ただし売主側の視点からすると、”おいしい夢だけ見させられた”気がして、がっかり感や不快感が残るでしょう。