仲介業者の「専任媒介契約」には要注意
高い査定額で引きつけておいて、最終的にはディスカウントに持っていくというやり方をする業者に多いのは、「専任媒介」の契約をセットにしてくるパターンです。
宅建業者との契約には、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。専属専任媒介は現実にはほとんど行われていないので、ここでは割愛します。一般に行われているのは、「専任媒介」と「一般媒介」で、売主は宅建業者とどちらかの契約を結ぶことになります。いずれも業者が提供するサービス内容とそれに対する報酬(仲介手数料)を約束するための契約です。
基本的な契約内容は同じですが、それぞれに特徴があります。
①専任媒介契約売主が他の宅建業者に重ねて媒介等を依頼することを禁止する契約。
②一般媒介契約複数の宅建業者に同時に媒介等を依頼することができる契約。
最終的には、売主の希望条件に合った買主を見つけた宅建業者を通して取引を進めることになります。
専任媒介契約が必ずしも悪いわけではありません、当然メリットもあります。例えば、売主と特定の業者がパートナーシップを結んで物事を進めていけるので、安心感があり、また、媒介契約を締結した宅建業者が誠実であれば熱心に売ってくれます。本当に高値で売る力のある業者となら専任媒介も悪くないでしょう。
一般媒介のメリットは、宅建業者同士での競争が高まることです。業者は契約を成約させたいので、他社よりも高く買い取ってくれる買手を頑張って探してきます。そうして最終的に一番条件のよい買手と取引を進められるので、売主としては有利です。
ただし、一般媒介のデメリットとしては、不動産会社との結びつきが弱くなりがちな点があります。あまり魅力的な物件でないと、「どうせ頑張っても、さほど自分たちの利益にならない」と思って物件に執着がなくなり、各宅建業者の取り組みが希薄になってしまうおそれがあるのです。
いずれを選ぶにしても、自分にとって不利にならない契約の仕方を検討したいものです。
どちらか迷ったら、基本的には「一般媒介契約」を選ぶことをお勧めします。私が自分の不動産を相対取引で売るとしたら、一般媒介にします。3社ほどに並行して相談し、競争してもらうと失敗が少ないでしょう。