地中障害、土壌汚染、アスベスト…日本の暮らしには様々なリスクが潜んでいます。「売りたい」「(工場や会社に)使いたい」「住みたい」そんなとき、事前にチェックしておくべきポイントは? 事例を交えながら解説します。

「飛散性アスベスト」が発覚され、まさかの…

アスベストは、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。

 

これらの粉塵を吸い込むことで、塵肺、肺線維症、肺癌、悪性中皮腫などの病気を発症する要因になると指摘されていることから、事前対応が必須です。

 

飛散性アスベストが存在する建物の解体や改修工事をする場合には、まず所轄の役所に届出をしたうえで、工事に携わる労働者の健康障害の防止、大気汚染防止の観点から、施工対象区域を密封養生してアスベスト繊維が空気中に飛散することを防止する必要があり、原則として湿潤化して手作業で行うことになっています。

 

飛散性アスベストの除去、囲い込み、封じ込めを行う作業では、作業場の汚染された空気を外に逃がさないため負圧除塵装置の使用も必要です。そのため、解体費用や手間が大きくなります。引き渡し後に解体せずそのまま使い続ける場合でも、適切な安全措置を講じることが義務づけられています。

 

また、宅建業者もアスベスト使用調査の内容については重要事項説明書での説明が義務付けられています。アスベスト含有製品の有無は、建材種類別及び製造時期並びに目視、設計図書等により調査し、判断できない場合については、サンプリングをして分析が必要になります。

 

ただし、アスベスト使用が記載されていない場合でも、後の改修・補修工事でアスベストが使用された可能性もあるので、現地調査も併せて行う必要があります。現地調査は国土交通省公認の「建築物石綿含有建材調査者」やJATI協会(旧・日本石綿協会)認定の「アスベスト診断士」に依頼するのが妥当です。

 

筆者たちが直面したケースでも、建物の設計図書では、飛散性アスベストはないという表示でしたが、現地調査をしたら、飛散性アスベストが発見され、建物の解体費が当初の見積りより倍増したことがあるので要注意です。

 

チェックポイント③:PCB(ポリ塩化ビフェニル)

 

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、電気機器の絶縁油、変圧器、コンデンサー、蛍光灯等の安定器、ノンカーボン紙など様々な用途で平成2年頃まで利用されてきました。しかし、脂肪に溶けやすいため体内に浸透しやすく、慢性的に体内に取り込むことで、様々な健康被害を引き起こすことがわかっています。そのため、事前対応が必要です。

 

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本記事は『増補改訂版 不動産は「オークション」で売りなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、再編集したものです。

増補改訂版 不動産は「オークション」で売りなさい

増補改訂版 不動産は「オークション」で売りなさい

土屋 忠昭

幻冬舎メディアコンサルティング

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