長い老後生活を安心して送るには、資産形成が不可欠です。しかし、その実現にはさまざまなリスクが付きまといます。市場変動リスクをはじめ、貯蓄不足リスク、長生きリスク、インフレ・リスク…。本記事では、そのなかでも資産形成期に該当する若年世代が最も留意すべき「貯蓄不足リスク」について取り上げます。資産運用会社のアライアンス・バーンスタイン株式会社で運用戦略を行う後藤順一郎氏が解説します。

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「株式と債券のリターン格差は過去の話」ではない

このような話をすると、「これはあくまでも過去の話。将来は株式ではこんなに高いリターンは得られない」との意見を言う人が必ずいますので、将来も見てみましょう。結論から言うと、残念ながら将来は株式と債券のリターン格差はもっと広がると予想されています。

 

アライアンス・バーンスタイン社の長期リターン予測モデルによると、今後10年間の株式の期待リターン(円ベース、19年12月末基準)は5.20%、債券は0.58%、短期金融資産は0.98%となっています。

 

単純に10年複利を計算すると、株式は66.0%、債券は6.0%、短期金融資産は10.3%の累積リターンとなり、株式の累積リターンは債券のそれの11.1倍となり、過去10年の3.8倍よりも格差が拡大しています。この理由は、株式が大きく成長するからではなく、債券の期待リターンが下がっているからです。

 

各国中央銀行が新型コロナウイルスによる市場混乱を収束させるために金融緩和を実施した今は、もっと債券の期待リターンは下がっているでしょう。つまり、将来は債券のような安全資産で十分なリターンを得ることは難しいと言えます。

 

冒頭で触れたように年金減額や長生きの影響で、自助努力で準備しなければいけない金額は高まる一方、市場は市場変動リスクを取らない人は報われない環境になりつつあります。つまり、資産形成期には単に市場変動リスクを低くするのではなく、貯蓄不足リスクも踏まえて投資戦略を考えることが必要不可欠なのです。

 

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アライアンス・バーンスタイン
後藤順一郎

 

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※本記事は「ニッキン投信情報」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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