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「市場変動リスク」を見ているだけでは不十分
長生きや公的年金減額に対処するには、長期で資産形成を行う必要がありますが、そのうえでカギとなるのはご存じのとおり「資産配分」です。
その資産配分を決める際にはリターンとリスクを考慮しますが、リスクと一口にいっても様々な種類のリスクがあります。一般的にリスクと言われているのは市場変動リスクになりますが、このリスクだけを見ていても十分ではありません。
特に、私たちが生涯にわたって資産形成をする際には、これ以外の3つのリスク、つまり働いているあいだに十分な資産が形成できないリスク(貯蓄不足リスク)、生きている途中で資産が底を突くリスク(長生きリスク)、そして物価上昇によって保有資産が目減りするリスク(インフレ・リスク)も考慮して、資産配分を検討すべきなのです。
世代によって「重視すべきリスク」は変化する
ここで重要になるのは、世代によってどのリスクを重視すべきかが変わってくる点です。
例えば、現役世代は「貯蓄不足リスク」を低下させるために、市場変動リスクを取ってでも大きく増やすことを目指したほうがよいとなります。また、定年退職直後には「長生きリスク」に対処するため、過度に保守的な資産運用をしないことが求められます。80歳以降は、資産を積極的に増やす必要はなくなりますが、「インフレ・リスク」を意識して、物価上昇からの負の影響を抑制する運用が必要となります。
生涯にわたる資産配分は、平均的な日本人を想定した場合、現役世代は株式やリート中心とし、その後、加齢に合わせて徐々に債券にシフトし、定年退職時点では株式等を65%程度まで減らすのがよいと考えています。定年退職以降、株式等を減らすペースを速め、80歳時点では株式等を35%とするのが最適と当社では分析しています。
「リスク・キャパシティ」を考慮する、複数要因とは?
これはあくまで日本人の平均給与を前提とした場合の結果です。実際には、平均どおりの投資家は存在しないため、個々の事情に合わせたカスタマイズが必要となります。カスタマイズに際しては、年齢から定めた前述の資産配分をベースとしつつ、「リスク選好」と「リスク・キャパシティ」を用いて調整していくことになります。
「リスク・キャパシティ」を考慮する際は、年齢に加えて、職業(収入=人的資本)、公的年金や企業年金の予想給付額、現在の金融資産なども考慮すべき要因となります。このようにして個人に合った運用戦略を定めていくのです。