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「寿命の延び」と「公的年金の減額」が止まらない!
定年退職後というと、「老い先短いのでリスクを取った運用はせずに、安全な預貯金で大事な資産を守ることに専念したほうがよい」というのがこれまでの通説だったように思います。この考えは昭和ならば通用したかもしれませんが、令和のいまは全く異なる状況になっています。
なぜならば、寿命が延びて老後の人生が長くなっているにもかかわらず、公的年金の給付額は減少しているからです。
まず、長寿化についてみると、約40年前の昭和55年では65歳時点の男性の平均余命が14.56年、女性が17.68年でしたので老後は20年にも満たなかったのです。それが令和元年になると、65歳時点の平均余命は男性が19.83年、女性が24.68年となり、男性は5年、女性はなんと7年も伸びました。
そして幸か不幸か、寿命は将来もどんどん長くなっていきます。当たり前ですが老後が長くなれば、その分のお金が必要になります。
一方、公的年金の給付額については、2004年に導入された「マクロ経済スライド」により、実質的な給付額は徐々に引き下げられる予定です。
現時点では、年金給付額の現役時代の平均手取り収入額に対する割合(所得代替率)は62%ですが、今後は、経済成長と労働参加が計画どおりに進んだ場合で50.8%、進まないケースでは36%~38%にまで下がると試算されています。
加えて、企業年金でも終身年金を提供する割合が減っており、公的年金・企業年金、双方ともに受給者にとっては厳しい状況となっています。
このような背景から、預貯金だけで老後の生活を賄うのは難しく、老後であってもお金を長持ちさせるために資産運用をする必要性が高まっているのです。
「リタイアメント世代」の区分も、一括りでは語れない
とはいっても、退職後は若い人と異なり、リスクを取れる根拠となっていた人的資本がありませんから、そんなにリスクを取ることもできません。では、どの程度のリスクをとって資産運用すればよいのでしょうか?
ここでは65歳から79歳までをリタイアメント世代として区分していますが、まずは65歳と80歳近くでは状況が全く異なることを認識しなくてはなりません。65歳はまだ元気な人が多く、女性ならば平均的に24.68年もの時間が残されています。
一方、80歳では残された時間は女性でも12.04年になります。つまり、リタイアメント世代の運用もやはり年齢によって異なるべきであり、それは現役世代と変わりません。65歳では長生きリスクに対応するために株式に相応に投資し、80歳に向けて徐々に減らしていくことになります。
もちろん、人的資本(自分自身が働いて給与収入を稼ぐ力)がない人が多いので、現役時代と比べれば全体的に株式比率を低くする必要があることは言うまでもありません。
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