65歳リタイア女性「人生あと25年分の老後資金」をどうする?

リタイアメント世代(65~79歳)の資産形成戦略においてもなお、「年齢」は外せないポイントになります。年金受給者という括り方をしていても、60代半ばと70代後半とでは健康状態に大きな差があるため、同一には語れません。本記事ではリタイアメント世代の運用戦略について考察します。資産運用会社のアライアンス・バーンスタイン株式会社で運用戦略を行う後藤順一郎氏が解説します。

インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る

「寿命の延び」と「公的年金の減額」が止まらない!

定年退職後というと、「老い先短いのでリスクを取った運用はせずに、安全な預貯金で大事な資産を守ることに専念したほうがよい」というのがこれまでの通説だったように思います。この考えは昭和ならば通用したかもしれませんが、令和のいまは全く異なる状況になっています。

 

なぜならば、寿命が延びて老後の人生が長くなっているにもかかわらず、公的年金の給付額は減少しているからです。

 

まず、長寿化についてみると、約40年前の昭和55年では65歳時点の男性の平均余命が14.56年、女性が17.68年でしたので老後は20年にも満たなかったのです。それが令和元年になると、65歳時点の平均余命は男性が19.83年、女性が24.68年となり、男性は5年、女性はなんと7年も伸びました。

 

そして幸か不幸か、寿命は将来もどんどん長くなっていきます。当たり前ですが老後が長くなれば、その分のお金が必要になります。

 

一方、公的年金の給付額については、2004年に導入された「マクロ経済スライド」により、実質的な給付額は徐々に引き下げられる予定です。

 

現時点では、年金給付額の現役時代の平均手取り収入額に対する割合(所得代替率)は62%ですが、今後は、経済成長と労働参加が計画どおりに進んだ場合で50.8%、進まないケースでは36%~38%にまで下がると試算されています。

 

加えて、企業年金でも終身年金を提供する割合が減っており、公的年金・企業年金、双方ともに受給者にとっては厳しい状況となっています。

 

このような背景から、預貯金だけで老後の生活を賄うのは難しく、老後であってもお金を長持ちさせるために資産運用をする必要性が高まっているのです。

「リタイアメント世代」の区分も、一括りでは語れない

とはいっても、退職後は若い人と異なり、リスクを取れる根拠となっていた人的資本がありませんから、そんなにリスクを取ることもできません。では、どの程度のリスクをとって資産運用すればよいのでしょうか?

 

ここでは65歳から79歳までをリタイアメント世代として区分していますが、まずは65歳と80歳近くでは状況が全く異なることを認識しなくてはなりません。65歳はまだ元気な人が多く、女性ならば平均的に24.68年もの時間が残されています。

 

一方、80歳では残された時間は女性でも12.04年になります。つまり、リタイアメント世代の運用もやはり年齢によって異なるべきであり、それは現役世代と変わりません。65歳では長生きリスクに対応するために株式に相応に投資し、80歳に向けて徐々に減らしていくことになります。

 

もちろん、人的資本(自分自身が働いて給与収入を稼ぐ力)がない人が多いので、現役時代と比べれば全体的に株式比率を低くする必要があることは言うまでもありません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

アライアンス・バーンスタイン株式会社 運用戦略部マネジング・ディレクター 兼 AB未来総研所長
慶應義塾大学理工学部 非常勤講師

2006年4月に入社。現在、マルチアセット戦略のプロダクト担当。また、DC・NISAビジネスの推進及びAB未来総研にて顧客向けソリューション/リサーチ業務も兼務。

入社以前はみずほ総合研究所株式会社(みずほフィナンシャルグループから出向)に勤務、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。

共著書に「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(2004年、東洋経済新報社)、「企業年金の資産運用ハンドブック」(2000年、日本法令)、「The Recent Trend of Hedge Fund Strategies」(2010年、Nova Science Pub Inc, 2010)。

論文に「ヘッジファンドのスタイル分析-ファンドオブヘッジファンズの超過収益獲得能力の推計-」(2007年、日本ファイナンス学会第15回大会)、「これだけは押さえておきたい資産形成のポイント」(2011年、投資信託事情)、「行動ファイナンスから見た“マーケットとの付き合い方”」(2012年、投資信託事情)、「基礎から分かるターゲット・イヤー・ファンド」(2014-2015年、ファンド情報)など。

1997年に慶應義塾大学理工学部管理工学科にて学士号、2006年に一橋大学大学院国際企業戦略研究科にて経営学修士号(MBA)取得。

日本アクチュアリー会準会員、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、1級DCプランナー、慶應義塾大学理工学部非常勤講師

著者紹介

連載人生100年時代を生き抜くための「ライフサイクル投資」実践講座

※本記事は「ニッキン投信情報」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧