まず、賃貸住宅物件の空室率について、日米の比較(図表)をご覧下さい。
2017年時点のアメリカの空室率は、6.18%と、東京の平均の半分以下です。空室率が低いということは、家賃の入らない空室期間も短くなるということであり、また、賃料を引き下げる必要性も低いということにつながります。そこから、安定した家賃収入=運用益を得ることができるというわけです。
日本人がアメリカ不動産を保有すると、現地の管理会社に客付けを依頼することになります。現在では、ネットの賃貸情報サイトに情報を掲載して、それを見た入居希望者とやりとりをして手続きを進めてもらいます。その際、オーナーは管理会社に1カ月分の仲介手数料を支払うだけです。日本の「広告料」のような、少々不透明な費用は必要ありません。
基本的に賃貸需要は旺盛なので、学区評価が高いエリアで、設備などがきちんとリフォーム、リノベーションされている物件であれば、長期間の空室が発生することはまずありえません。年間賃料(表面利回り)は、エリアによっても異なりますが、だいたい物件価格の6〜7%に設定されることが多いです。その年間賃料から、
・固定資産税
・管理委託費
・火災保険料
・HOA(Home Owners’ Association)会費※注(該当する場合)
などの経費を差し引き、手もとに残る金額が、NOI(営業純利益)となります。
※注…日本でいうマンションの管理組合に近い。詳しくは関連記事(芝を刈らないと罰金も…「アメリカ不動産投資」の意外な苦労)参照。
物件購入価格に対するNOIの比率が、Cap Rate(実質利回り)で、弊社の物件の実績では大体3.5%から4%になります。ただし、Cap Rateの計算は満室稼働が前提です。仮に空室率を全米平均と同様に6%と見ると、NOIやCap Rateはその分程度下がることが想定されます(固定経費があるので厳密に比例して下がるわけではなく、物件ごとに差があります)。この数字自体は、2020年時点の東京23区の投資用不動産と比べて、同程度の水準だと思われます。特に高いというわけではありません。