介護職員が辞める本当の理由とは
介護職員が介護職を辞める本当の理由を、皆さんはご存じでしょうか? 実態を理解していない国やメディアは、こぞって低賃金だからと言っていますが、私はそうではないと思っています。たしかに、介護職員の賃金はけっして高くはありません。しかし、介護職員はそれを承知で介護業界に就職しているのです。つまり、最初から高い賃金など望んではいない、ということです。
常識で考えた場合、高い賃金が貰える職種は、営業職か高度な知識や経験、技術が必要な専門職だと思います。たとえば、前者は不動産や保険の営業員であり、後者の代表例は医師でしょうか。
多くの介護職員に対し、なぜ、あなたは老人ホームの介護職員になったのですかと尋ねると、多くの介護職員から「幼いころ、祖父や祖母の世話になったから」というような回答が返ってきます。ある人は、幼いころ両親が離婚し、母親が仕事で忙しかったので、祖母が母親代わりだったと言い、ある人は、大家族だったので高齢者が身近にいたから、と言います。たしかに、これはその通りだと思います。
介護に転職してくる多くの人たちは、今の仕事で悩み、苦しみ、行き詰まったときに、自分は何をするべきなのか?と自問自答します。そして、そう考えると、昔祖母に世話になった、祖父に面倒を見てもらったという記憶がよみがえり、それでは、高齢者介護の仕事に就こう、という気持ちになっていくのです。
しかし、現実は、想定外の悩みが目の前に立ちはだかります。皆さんがよく知っている介護職員である「ケアマネジャー」などは、営業マン以外の何者でもありません。会社に所属しているケアマネジャーは、会社から、ケアプランを1件でも多く獲得しろと言われ、ケアプランの中でも売上が多い介護度の重い高齢者のケアプランを獲得しろと言われます。さらに、獲得したケアプランに、自社が提供している介護サービスを、どれだけ紹介できたのかということを問われます。