聞いているこっちのほうが薄気味悪くなってくる。
聞いているこっちのほうが薄気味悪くなってくる。それに舅が病室に通っているむき出しの大きな配管に吸い込まれて行くので、必死に引っ張ったとも言う。
「考えてごらん、そんなはずないでしょ」と管を指さして言うと、不思議がり、「やっぱりうちおかしいんやろか」と言う。それと猿が鈴なりになって壁にへばりついていたとか、他にもありえない物が見えたり聞こえたりしたというのだ。
煙草を取り上げられたと聞いていたので、禁煙による禁断症状ではなかろうかとふと思った。以前、映画でアルコール依存症の人のそのようなシーンを見たことがある。
「おばあちゃん、きっと煙草をやめたから禁断症状が出て変なものが見えたり聞こえたりするんやわ。そのうち治るわ」と言うと、「そうかもしれんな。うち気がおかしくなったか思うて心配したけど」とまともな受け答えをする。
一応安心して帰ったが、翌朝本人が突然帰って来た。どうやら無断で抜け出したらしく、病院から電話がある。なだめすかして病院へ連れて行く。