「そのうち解決すると思っていたが」…22年間無職の息子
誠一さん(仮名・79歳)は、ひとり息子の大輔さん(仮名・52歳)と二人で暮らしています。誠一さんの収入は年金月19万円のみ。妻は数年前に他界し、それ以降、家計は誠一さんの年金で成り立ってきました。
大輔さんが最後に定職に就いていたのは30歳のころ。それ以降、短期のアルバイトを数回経験したものの長く続くことはなく、気づけば20年以上が過ぎていました。
「最初は“少し休めばまた働くだろう”と思っていたんです。でも、いつの間にか時間だけが過ぎてしまって」
誠一さんはそう振り返ります。
大輔さんは家事をまったくしないわけではありません。簡単な買い物やゴミ出しなどは担当していましたが、生活の中心は自室で過ごす時間でした。
「特に大きなトラブルがあったわけではないんです。ただ外に出て働くことだけは、どうしても続かなかったようで」
誠一さん自身も、強く言えないままここまで来てしまったといいます。
「無理に追い込んで、関係が悪くなるのも怖かったんです」
しかし年齢を重ねるにつれ、その“先送り”は現実的な問題としてのしかかってきました。
総務省『家計調査(2025年)』によると、高齢単身無職世帯の可処分所得は月約11.8万円、消費支出は月約14.8万円で、平均で約3万円の赤字となっています。誠一さんの場合は二人暮らしであるため、支出はさらに大きくなります。
「貯金もあるにはありますが、このままではいつか尽きると分かっていました」
それでも長年続いた生活を変えるきっかけをつかめないまま、日々が過ぎていきました。
転機となったのは、体調の変化でした。ある日、誠一さんは軽いめまいを起こし、病院を受診しました。大事には至らなかったものの、「いつ何があってもおかしくない年齢だ」と医師に言われたといいます。
「その帰り道、初めて“このままではいけない”と強く思いました」
