入院中に大腿骨を骨折した姑。手術は成功した一方で、介護の負担が減ることはなかった。※幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ『嫁姑奮戦記』を連載でお届けします。

「生きてるの嫌になった。どこぞ行って死ぬ」

姑はとうとう煙草を吸い出した。商売以外何も興味も趣味もないし、唯一好きな買物も出来ない昨今、さぞかし空しく退屈な毎日だろうと思う。

 

そのうえ、コーヒーやお茶も嗜まない。煙草代わりにとお菓子を出しても物足らない様子だった。隠れて吸われては危ないので、灰皿の前で吸ってねと言うと、「うち、もうどこぞ行って死ぬわ」と言う。「吸ってもいいって言ってるのに何で?」と言うと、「うちもうこんなして生きてるの嫌になった。どこぞ行って死ぬ」と再び言う。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

「そんなこと言わんといてよ。今までなんのため頑張ってきたの。そんな死にたいような辛い目に遭わせた?」

 

姑にとって自分の思うようにならない生活は、死ぬほど辛いのだろう。気持ちは分かるが、今の状態ではとても無理だ。

 

物忘れ理解力の低下は更にひどくなってきている。テレビも見てはいるが、ほとんど理解していない。

 

毎日財布か何かを捜し物をしている。日課のようなものだ。おかげでタンスも押し入れもひっくり返っている。

 

私は汚れ物を捜すだけだ。以前のようにうるさく言わない。無理なのだ。一緒にテレビを見ながらお喋りをしたり、おやつを食べ、食事をする。

 

そんな中、こんなエピソードもある。

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嫁姑奮戦記

嫁姑奮戦記

大野 公子

幻冬舎メディアコンサルティング

入院早々骨折、幻覚幻聴、物忘れ……病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。 介護する側、される側、双方には今日に至るまでの歴史がある。 血縁だけでは語れない愛がそこにはあった。 嫁が綴った過去の日記をもとに、「…

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